国産エレキギターブランド「FERNANDES」が、事業を停止し、破産の見込みとなった。
惜しまれる出来事であり、フェルナンデスの刻まれた奇跡を追ってみました。
破産へと向かった要因は何か
フェルナンデスの破産には、色々なこと絡み合い破産へと向かったのでしょう。
主な3つの要因です。
中古市場の台頭と競争激化
近年は、中古ギター市場の規模が大きくなり、新品のギターを購入するよりも安価に高品質なギターを手に入れることができるようになっています。
また、海外メーカーの参入も活発で、国内外のギターメーカー間での競争にフェルナンデスは、対応しきれず、販売不振となったと考えられます。
大阪フェルナンデスの破産
フェルナンデスの関連会社である大阪フェルナンデスが2023年4月に破産しました。
大阪フェルナンデスは、フェルナンデスの製品の主要販売代理店であり、その破産によってフェルナンデスは大きな収益源を失いました。
資金繰りの悪化
上記2つの要因に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷なども影響し、フェルナンデスの資金繰りは悪化したようです。
2022年1月期には2414万円の最終赤字を計上し、債務超過に陥っていました。
フェルナンデスの軌跡
- 1969年創業
フェルナンデスは、桜井正典氏と佐藤秀一氏の2人によって、1969年に大阪で創業されました。
当時、まだ国内楽器メーカーは少なく、ギター工房の形態でスタートしました。
- 国産ギターの旗手として躍進
フェルナンデスは新製品を開発し、高度な技術力と斬新なデザインで国内外のギタリストから絶大な支持を得ます。 - 代表的なモデルは、Sustainerシステム搭載のZO-3や、レスポールを参考に独自進化させたBurnyシリーズなどがあります。
- X JAPANのhideや聖飢魔IIのエース殿下など、名だたるアーティストのシグネチャーモデルも多数制作し、日本のロックシーンを支えました。
- 経営難と大阪フェルナンデスの破産
近年は、中古市場の台頭や海外メーカーの参入による競争激化、そして2023年に大阪フェルナンデスの破産もあり、経営難が深刻化していました。
- 2024年7月破産申請へ
そして、業績回復も叶わず、2024年7月13日、自己破産を申請。
破産直前の2022年1月期の売上高は1億6608万円、最終赤字は2414万円だったことが報じられています。 - 55年の歴史を誇る国産ギターメーカーの灯火は、惜しまれつつ消えてしまいました。
フェルナンデスの名前の由来とフェンダーとの関係
フェルナンデスの名前は、スペイン語またはポルトガル語の姓である「フェルナンデス(Fernández)」に由来します。
この姓は、「フェルナンド(Fernando)」という名前の「息子(hijo)」という意味です。
フェルナンドは、西ゴート王国の王の名前として知られており、スペインやポルトガルで非常に一般的な名前です。
フェルナンデスの創業者である桜井正典氏が、この名前をどのような理由で選んだのかは定かではありませんが、スペイン語やポルトガル語の響きを気に入り、それにちなんだ名前を選んだ可能性があります。
ちなみに、少しばかり似ているフェンダーとは、特に深い関わりは見られません。
フェンダーはアメリカの楽器メーカーであり、フェルナンデスは日本の楽器メーカーです。
確かに、フェンダーのギターはフェルナンデスに影響を与えた可能性はありますが、フェルナンデスの名前自体がフェンダーから直接的に取ったわけではありません。
惜しまれる国産ギターメーカー
今回の破産については、残念で大変惜しまれます。
個人的にも、45年前に初めて購入したエレキギターは、フェルナンデスでした。
当時、一日中弾く練習をして 上手くなりたい一心の日々であったことが思い出されます。
今後の成り行きを見守っていきましょう。