2024年6月19日、イギリスの世界遺産ストーンヘンジに、オレンジ色の粉末塗料を吹き付ける事件が発生した。過去にも標的となっているストーンヘンジだが、なぜ 幾度となく標的のなるのだろうか。
2024年6月ストーンヘンジに塗料吹付事件の背景
2024年6月19日、イギリスの世界遺産ストーンヘンジに、環境活動家団体「ジャスト・ストップ・オイル」のメンバー2人がオレンジ色の粉末塗料を吹き付ける事件が発生しました。
事件概要
- 日時: 2024年6月19日正午頃
- 実行者: 環境活動家団体「ジャスト・ストップ・オイル」のメンバー2人
- 行為: ストーンヘンジの巨石にオレンジ色の粉末塗料を吹き付ける
- 被害状況: 巨石の一部にオレンジ色の粉末が付着
- 逮捕状況: 2人は現場で逮捕された
犯行の目的と背景
- 目的: 2030年までに化石燃料の使用を段階的に廃止するよう、次期政権に求めるため
- 背景: 地球温暖化対策の必要性を訴えるため、過去にも美術館や銀行などに過激な抗議活動を行っています。
- 声明: 犯行グループは、声明の中で「ストーン(石)なら時代を超えて動かずにいてもいいが、気候政策はそうはいかない」と述べている
事件のその後
- 塗料除去: 20日までに塗料は除去された
- スナク首相の反応: イギリスのスナク首相は事件を非難し、「恥さらしだ」とコメント
- 今後の見通し: 2人は器物損壊罪で起訴される可能性が高い
ストーンヘンジってなに? どこにあるの?
ストーンヘンジは、イギリス南部のソールズベリー平原にそびえ立つ、紀元前3000年頃に造られた巨大な環状列石遺跡です。
高さ約4メートル、重さ最大50トンもの巨石が、ドーナツ状に並べられています。
その建造方法や目的は未だ完全には解明されておらず、太陽神崇拝の祭祀場、古代天文台、あるいは巨大なコンピューターなど、様々な説が唱えられています。
世界遺産に登録されています。
ストーンヘンジへのアクセス
- ロンドンから電車で約1時間30分
- バスツアーで約2時間
ストーンヘンジに対する過去の攻撃事件
ストーンヘンジは、過去にも様々な攻撃を受けてきました。
1992年から2015年までの4つの事件について解説します。
1992年 ペイント缶投擲事件
- 事件概要: 1992年11月、イギリス人男性が、ストーンヘンジの巨石にペイント缶を投げつけ、損壊させました。
- 犯人: 当時36歳だったイギリス人男性。名前は公表されていません。
- 目的: 犯人は、ストーンヘンジは観光客向けの偽物であると主張し、その「偽物」を破壊しようとしたと供述しています。
- 首謀者: 犯人は単独犯とみられており、共犯者はいませんでした。
- その後: 犯人は器物損壊罪で起訴され、懲役6ヶ月の判決を受けました。
2008年 ハンマーによる石損壊事件
- 事件概要: 2008年8月、イギリス人男性が、ストーンヘンジの巨石をハンマーで叩きつけ、損壊させました。
- 犯人: 当時51歳だったイギリス人男性。名前は公表されていません。
- 目的: 犯人は、ストーンヘンジは古代文明の産物ではなく、自然の岩の形成物であると主張し、その「偽物」を壊そうとしたと供述しています。
- 首謀者: 犯人は単独犯とみられており、共犯者はいませんでした。
- その後: 犯人は器物損壊罪で起訴され、懲役18ヶ月の判決を受けました。
2013年 車突入未遂事件
- 事件概要: 2013年5月、イギリス人男性が、車でストーンヘンジの敷地内に突入しようとした事件が発生しました。車は巨石に衝突する寸前で止められました。
- 犯人: 当時34歳だったイギリス人男性。名前は公表されていません。
- 目的: 犯人は、ストーンヘンジは古代文明の力によって建てられたものであり、その力を証明するために車で突入しようとしたと供述しています。
- 首謀者: 犯人は単独犯とみられており、共犯者はいませんでした。
- その後: 犯人は器物損壊未遂罪で起訴され、禁錮3ヶ月の判決を受けました。
2015年 金属探知機調査事件
- 事件概要: 2015年11月、ポーランド人男性が、ストーンヘンジ周辺で金属探知機を使って調査を行っていたところを、警備員に発見されました。
男性は許可を得ずに調査を行っていたため、逮捕されました。 - 犯人: 当時44歳だったポーランド人男性。名前は公表されていません。
- 目的: 犯人は、ストーンヘンジ周辺に埋まっている宝物を探し出すつもりだったと供述しています。
- 首謀者: 犯人は単独犯とみられており、共犯者はいませんでした。
- その後: 犯人は考古学遺跡の発掘禁止法違反で起訴され、罰金刑を受けました。
これらの事件は、いずれも厳格な処罰を受けていますが、ストーンヘンジに対する攻撃は依然として続いています。
なぜ、幾度となく標的になるのか
ストーンヘンジが繰り返し攻撃の標的となる理由は、複合的な要因が絡み合っています。
主な理由を5つ挙げ、解説します。
謎に包まれた古代遺跡としての魅力と脆弱性
- 独特な建造物と歴史:
ストーンヘンジは、紀元前3000年頃に建設された巨大な環状列石遺跡であり、その建造方法や目的は未だ完全には解明されていません。
この謎めいた古代遺跡としての魅力が、人々を惹きつけ、同時に攻撃の対象ともなっています。 - 精神的な意味合い:
ストーンヘンジは、古代文明の叡智や呪術的な力を持つ場所として、古くから人々の信仰を集めてきました。
近年では、スピリチュアルなパワースポットとして人気が高まっており、これが一部の人々にとって、損壊や調査の対象となる理由の一つと考えられます。 - 脆弱な構造:
ストーンヘンジは、巨石を積み重ねただけの構造であり、風雨や人為的な破壊に対して脆弱です。実際、過去にも度々損壊被害を受けており、そのたびに修復作業が行われています。
反遺跡主義と陰謀論の影響
- 反遺跡主義:
近年、一部の人々によって、先史時代の遺跡は自然破壊や文化的搾取の象徴であるとして、破壊を主張する反遺跡主義的な思想が広まっています。
ストーンヘンジは、この思想の標的の一つとされることがあり、過去にも反遺跡主義者による攻撃事件が発生しています。 - 陰謀論:
ストーンヘンジを巡っては、宇宙人や古代文明による建造説など、様々な陰謀論が唱えられています。
これらの陰謀論を信奉する一部の人々が、真実を明らかにするために調査や損壊行為を行うことがあります。
政治的・社会的メッセージの発信
- 抗議活動:
ストーンヘンジは、政治的・社会的メッセージを発信するための場として利用されることがあります。
過去には、環境保護活動家や先住民権利活動家などが、ストーンヘンジで集会や抗議活動を行ったことがあります。 - 注目を集める手段:
一部の活動家は、ストーンヘンジを標的とすることで、世間の注目を集めようとする意図がある可能性もあります。
観光客の増加と管理体制の課題
- 観光客の増加:
ストーンヘンジは、世界屈指の人気観光スポットであり、近年では年間約200万人が訪れています。
観光客の増加は、遺跡への負担を増加させ、違法行為のリスクも高めています。 - 管理体制の課題:
ストーンヘンジの管理体制は、十分とは言えません。
警備員の数や巡視の頻度が限られているため、違法行為を見逃してしまうケースも少なくありません。
精神疾患や薬物乱用の影響
- 精神疾患:
過去にストーンヘンジを攻撃した犯人の中には、精神疾患を患っていたことが判明しているケースがあります。
精神的な問題を抱えた individuals(特定の個人) は、衝動的な行動を起こしやすいため、遺跡への攻撃リスクが高くなります。 - 薬物乱用:
薬物乱用の影響で、判断力が低下したり、衝動的な行動を起こしやすくなったりすることがあります。
これが、遺跡への攻撃につながるケースがあると考えられます。
今後、ストーンヘンジのような貴重な遺跡を保護していくためには、
- 遺跡に対する理解と関心を深めるための教育
- 厳格な法執行
- 効果的な警備体制の構築
- 遺跡周辺の環境整備
などの対策が必要不可欠です。
まとめ
ストーンヘンジは現代の人々にとって、様々な魅力を持つ観光スポットとなっています。謎とロマン、歴史と文化、スピリチュアルな体験、自然との触れ合い、家族や友人との思い出作りなど、ストーンヘンジでしか味わえない体験を求めて、世界中から人々が訪れています。