米半導体大手エヌビディアはフランスの独占禁止法規制当局から反競争行為の疑いで告発される見込みとなった。
急成長するIT企業に何が起きたのか。
今さら聞けない「エヌビディア(NVIDIA)」の成長を知ることとした。
フランスの独占禁止法規制当局からの告発の見込み
2024年6月、エヌビディアはフランス競争当局から独禁法違反で告発される見込みとなりました。
考えられる主な告発理由
1. ソフトウェアバンドル販売の強制
- パソコンメーカーに対し、自社のGPUと特定のソフトウェアをセットで販売することを強要していた疑いがあり、結果 消費者の選択肢は狭まり、競争が制限される恐れがあるようです。
2. 小売業者への不当な圧力
- 小売業者に対し、エヌビディア製品を優先的に販売することを強要していた疑いがあり、他のメーカーの製品が不利な扱いを受ける可能性があるとされています。
エヌビディアは、これらの告発について争う姿勢をとるようです。
もし告発が認められた場合、エヌビディアは最大で世界年間売上高の10%に相当する制裁金が科される可能性があり、且つ、欧州連合(EU)全体での事業活動にも影響が出る可能性があります。
今後は、フランス当局の調査結果と、エヌビディアの対応が注目されます。
エヌビディア(NVIDIA)というIT企業
創設者
- ジェン・ファン:台湾出身のエンジニア
- カーティス・プリム:アメリカのエンジニア
- クリス・マレック:アメリカの起業家
1993年に3名によって設立
アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタクララに本社を置く、半導体メーカーです。
会社史
- 1990年代:3Dグラフィックスチップでシェアを獲得
- 2000年代:ゲーミング用GPUで市場を席巻
- 2010年代:AIブームに乗り、GPUがAI処理に不可欠な存在となる
- 2020年代:AI、HPC、データセンター向けソリューションに注力
主な事業
- **グラフィックス処理装置(GPU)**の設計・販売
- 高性能なゲーミング用GPUや、AI、HPC向けGPUなどを開発、販売しています。
- **システムオンチップ(SoC)**の設計・販売
- モバイル機器や自動車向けのSoCを開発、販売しています。
- **人工知能(AI)**関連ソフトウェアの開発・販売
- AI開発向けのソフトウェアプラットフォームや、AI処理用のアクセラレータなどを開発、販売しています。
急成長の要因
エヌビディアは、ここ数年で驚異的な成長を遂げています。
主な3つの要因です。
1. AIブームへの対応の速さ
2010年代後半からAIブームが訪れ、AI処理に特化したGPUの開発に注力し、結果としてAI市場における圧倒的なシェアの獲得に成功しました。
2. ゲーミング市場の拡大
高性能なゲーミング用GPUで長年市場を牽引してきました。
3. データセンター市場への参入
近年、データセンター市場が急速に成長をしています。
AIやHPCなどのワークロードに適したGPUを開発し、データセンター市場に積極的に参入しています。
エヌビディアの2024年以降の成長戦略:5つの柱に注力
エヌビディアは、2024年以降 5つの柱を軸とした成長戦略を掲げています。
1. データセンター市場の拡大
- AIやHPCなどのワークロード向けに、高性能なGPUやDPUを開発・販売。
- クラウドサービスやメタバースなどの分野での需要拡大に注力していく。
2. ゲーミング市場の更なる振興
- ゲーマー向けの高性能GPUや、ゲーム開発者向けツールなどを開発・販売。
- クラウドゲーミングやeスポーツなどの新しいゲーム市場の成長にも注力していく。
3. 自動車市場への本格参入
- 自動運転や車載インフォテインメントシステム向けに、AI技術を活用したSoCを開発・販売。
- すでにいくつかの自動車メーカーと提携しており、今後さらに事業を拡大していく予定。
4. デジタルツインとメタバースへの投資
- デジタルツインやメタバース向けの3Dグラフィックス技術とAI技術を開発・販売。
- これにより、製造業や小売業などの様々な業界での新たなビジネスチャンスを創出していく。
5. Omniverseプラットフォームの普及
- 3DデザインやコラボレーションのためのOmniverseプラットフォームの普及。
- これは、様々な業界のクリエイターやエンジニアが、より効率的に3Dコンテンツを作成・共有できるようになることを目指している。
2024年以降、エヌビディアはこれらの分野におけるリーダーシップを確立し、さらに成長していく可能性があり、今後の成長が期待されます。