書店の廃業・倒産が止まらない。2014年以降の10年間で書店は764社が市場からいなくなった。
時代の流れなのか要因を知り、将来 私たちにとっての影響はあるだろうか。
書店が減り続けている背景
書店の数が減り続けている背景の一部を紹介します。
- 出版不況:
紙の出版物の売り上げは1996年の2兆6564億円から2016年には1兆4709億円にまで減少しています。
特に雑誌は書籍以上に落ち込んでいます。
この出版不況が書店にも影響を及ぼしています。 - ネット書店と電子書籍の普及:
ネット書店や電子書籍により書店に行く必要性を減少させています。
情報収集もインターネットがメインとなり、モバイル端末からのアクセスで入手することができます。 - 書店のコンセプトの変化:
一部の書店では、売り場面積を増やすなどの工夫をして生き残っています。
大手書店はブランド力や良書の品揃えで顧客を引きつけています。
カフェ併設の書店や専門ジャンルのセレクトショップのようなタイプも増えています。 - 新たな取り組み:
書店のない自治体にも本を届けるサービスや、書店のない場所で本を販売する取り組みも始まっています。
デジタル書籍を含めた書籍全体の市場動向
日本の書籍販売は、ネット通販やデジタル書籍を含めて増加しています。
経済産業省の発表によれば、2021年のBtoC-EC市場(物販、デジタル、サービス)は20兆6,950億円(前年比107.3%)と初めて20兆円の大台に乗り、拡大を続けています。
特に物販系分野のBtoC-EC市場規模は13兆2,865億円(同108.6%)となり、ECの利用が消費者の間で定着しつつあることやコロナ禍による行動規制の緩和に伴い、今後も成長が期待されています。
また、電子書籍市場も急成長しています。
2019年の電子コミック市場は2593億円(前年比29.5%増)と増加し、電子書籍市場も349億円(同8.7%増)と成長しています。
このように、ネット通販やデジタル書籍を含めた書籍の販売は、日本全体で拡大しています。
紙の書籍が減ると困るのか?
書店が減少していくことは、文化的観点からすると問題と言えるかもしれません。
書店は、実際に本を手に取って新たな発見や偶然の出会いをもたらす場でもあり、知識を得る場でもあります。
しかし、ネット通販やデジタル書籍の普及により書店のビジネスモデルは変化しています。
これにより、書店は価値提供やコンセプトの工夫が求められています。
既に一部の書店は、カフェ併設や専門ジャンルのセレクトショップのようなアプローチで顧客を引きつけている工夫をしています。
新たなビジネスモデル
デジタル書籍の普及に伴い、新たなビジネスモデルや成功事例が増えています。
主な具体事例を紹介します。
サブスクリプションモデル
- オーディオブック:
音声で本を楽しむオーディオブックが、急成長しています。
アメリカでは電子書籍の売上を上回る売上を記録しています。 - 定額制読書サービス:
ユーザーが月額料金を支払い、膨大な書籍を読むことができるサービスも増加しています。
データ収益化:
- パーソナライズド広告:
デジタル書籍プラットフォームは、ユーザーの読書履歴や興味に基づいて広告を表示することで収益を上げています。 - 読者データの分析:
書籍の読者データを分析し、傾向や好みを把握することで、ターゲット広告や新たなコンテンツの提供に活用しています。
DX書籍:
- DX(デジタルトランスフォーメーション)超入門:
DXの基本から実施方法までをわかりやすく解説した書籍があります。 - DXビジネスモデル80の事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略:
世界的な企業のDX事例を分析し、ビジネスモデルの革新を学べる一冊です。
デジタル人材の育成:
- デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門:
人材や資金に余裕のない企業でも、DX戦略をローコストで実施する方法を解説しています。
幼児向け書籍の市場(紙書籍かデジタル書籍か)
幼児向け絵本の販売は、紙書籍とデジタル書籍で選択肢があります。
それぞれの特徴と事例をご紹介します。
紙書籍
- メリット:
物理的な本を手に取り、ページをめくる楽しみがあります。(触覚の楽しみ)
親子で一緒に読む時間の共有ができます。
絵本の質感やイラストのアナログ感が魅力的です。
- 事例:
Amazonでは、幼児向けの紙絵本が豊富に取り揃えられています。
デジタル絵本
- メリット:
スマートフォンやタブレットで持ち運びが便利で、いつでもどこでも読めます。
タッチ操作や音声で絵本を楽しめます。
アニメーションや音楽、読み聞かせ機能などが付加されています。
- 事例:
デジタル絵本は、親子で楽しむだけでなく、子どもたちの学習や興味を刺激するツールとしても活用されています。
まとめ
書店が減ることは残念と思います。が、しかし 将来はデジタル化が更に広がることも確実であり 利便性は計り知れないほどとなるでしょう。
アナログとデジタルの良いところを融合した形になる時代へと進んでいくでしょう。