葛飾北斎の「冨嶽三十六景」全46作品が、アメリカ・ニューヨークでオークションに出品される報道があった。これは本当のことだろうか(信じがたいが)。
もし 本当であれば、全作品そろっての出品は非常に珍しく、オークションは来週実施の予定で、落札価格が7億円を超える可能性もあるともいわれている。
オークションが開催される前に、葛飾北斎「冨嶽三十六景」にふれておこう。
葛飾北斎を知る
葛飾北斎は、浮世絵師として有名です。彼の人生を少しばかり触れてみましょう。
- 生い立ちと画業:
1760年に武蔵国葛飾郡本所割下水(現在の墨田区)で生まれました。
19歳で浮世絵師・勝川春章に入門し、画人人生がスタートしました。 - 画業と作品:
画業生涯は約70年に及び、3万点以上の作品を残しました。
代表作には「冨嶽三十六景」や「北斎漫画」があります。 - 晩年と死:
90歳まで生き、画業を続けました。
葛飾北斎は世界で最も有名な日本人とされ、彼の作品は多くの美術館や博物館に収蔵されています。
高額取引の可能性
前回、2023年3月21日、第14回アジア・ウィーク・ニューヨークで行われたクリスティーズのオークションにおいて、葛飾北斎の浮世絵「神奈川沖浪裏」が約3億6000万円で落札されました。
この作品がなぜ高額で取引されたのか
- 初期の浮世絵であったこと:
出品された作品は、コレクターには特に人気のある初期の浮世絵でした。
北斎の「冨嶽三十六景」の一部であり、富士山を背景に東京近海の荒波と船乗りを描いています。 - アジア・ウィーク・ニューヨークの好記録:
アジア・ウィーク・ニューヨークは、世界中のアート関係者やアートコレクターの海外旅行が増え、中国からのアメリカへの入国検疫免除により、旅行者が増加し、オークション全体の総額も好記録を残しました。 - 保存状態の良さ:
出品された浮世絵は、初期に刷られたものであり、且つ 保存状態も良好でした。 - 入札者の競り合い:
オークションでは6人の入札者による13分間の競り合いが繰り広げられ、最終的に匿名の電話入札者が競り落としました。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この浮世絵には当初、50万ドル(約6600万円)〜70万ドル(約9330万円)の値がつくと予想されていましたが、価格が急上昇しました。
富嶽三十六景が46図の理由
「富嶽三十六景」は、葛飾北斎によって1831年から1833年頃に出版されました。
最初に36図が摺られ、その後10図の追加があり全46図でシリーズは完結しました。
10図の追加をしたのは、江戸庶民のニーズに応えたのだと思われます。
はじめに摺られた36図は「表富士」、後からの10図は「裏富士」と呼ばれています。
摺られた順番は正確にはわかりませんが、輪郭線の色の違いで区別が付きます。表富士はベロ藍といわれたプルシャンブルーの輪郭線で、裏富士は墨で輪郭線を引きました。
まとめ
葛飾北斎の「冨嶽三十六景」46作品すべてがそろった状態でオークションがされ、いくらの落札がつくのか興味津々です。この作品を知って来週のオークション結果を楽しみしましょう。