踏切事故は、一向に無くなりません。日本には、踏切が設置されていない「第4種踏切」が多く存在し、踏切事故が起こる要因の一つとなっています。
踏切事故要因の「第4種踏切」について理解を深めましょう。
最近の踏切事故例
写真は参考です。事故現場の踏切ではありません。
4月6日、群馬県高崎市吉井町小暮の上信電鉄馬庭―西山名間にある天水踏切で下仁田発高崎行きの普通電車にはねられ、女の子が死亡した。県警高崎署によると、事故現場は遮断機と警報機がない「第4種踏切」だった。
遮断機が設置されていない踏切
日本には、遮断機や警報機が設置されていない「第4種踏切1」が2408か所存在しています。
これらの踏切は、周囲に一時停止や注意喚起の表示があるものの、踏切内に容易に入ることができます。第4種踏切での事故発生割合は、100か所当たり1.02件であり、第1種踏切2の0.59件と比べて約1.7倍多くなっています。
【参考】踏切道の種類
背景として、第4種踏切は1960年に6万1972か所あったものが減少し、2021年には2527か所になりました。その後も減少傾向は続いており、2022年で2455か所、2023年は2408か所と、ほとんど横ばいのまま下がらない状況です。
遮断機の設置には1件につき約1000万円のコストがかかるため、地方鉄道の財政難も整備の進まない理由の一つです。また、踏切の廃止には「生活に必要」と住民からの反対の声が多く、すべての廃止が難しい状況にあります。
第4種踏切の分布
都道府県別の第4種踏切の数を 多い順に1位~10位を示します。
1位 山口県 162
2位 長野県 121
3位 岐阜県 107
4位 福岡県 106
5位 静岡県 49
6位 群馬県 47
7位 熊本県 45
8位 愛知県 44
9位 高知県 41
10位 鳥取県 40
第4種踏切を無くすことができない理由
- 交通網の必要性:
第4種踏切は、道路と鉄道の交差点であり、交通網の一部です。
鉄道は効率的で持続可能な交通手段であり、多くの人々が利用しています。
踏切を閉鎖することは、交通網の一部を切り離すことになり、交通の流れに影響を及ぼす可能性があります。 - 地域のアクセス性:
踏切は、地域のアクセス性を向上させる重要な要素です。
踏切がない場合、人々は遠回りをしなければならないか、他の交通手段を利用しなければなりません。
特に農村地域や遠隔地では、踏切が重要な役割を果たしています。また、踏切の廃止には「生活に必要」と住民からの反対の声が多くあります。 - 経済的な影響:
踏切は、地域の経済にも影響を与えます。
第1種化は1カ所1千万円程度の初期費用がかかり、乗客が減っている地方の鉄道事業者には負担が大きくなります。 - 安全性の配慮:
踏切は、交通事故のリスクを最小限に抑えるために設計されています。
踏切を無くすことは、交通の安全性に悪影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
第4種踏切を簡単には廃止することも、第1種踏切にすることも、簡単にはできないのが現状です。しかし 事故が起こるリスクは大変高く、特に地方で暮らしている人々にとっては、廃止することは大きな問題となります。