10月から手紙などの郵便料金が値上げとなることが発表された。
手紙の値上げは30年ぶりとなり、なぜ 今値上げなのかの懸念はでます。
郵便料金の値上げに伴い、各種記念切手への影響はあると思いますので、記念切手について考察します。
日本の記念切手:歴史と発行目的
記念切手とは、特別な出来事や人物を記念して発行される郵便切手です。
記念切手の歴史
- 1894年(明治27年)3月9日: 日本初の記念切手「明治銀婚記念」が発行されました。
これは、明治天皇と昭憲皇太后の銀婚を記念したものです。 - 当時は、「特別切手」と呼び、大正から昭和にかけて「記念」の語を使うようになり、1928年(昭和3年)発行の「昭和大礼記念」から「記念切手」と呼ぶようになりました。
記念切手発行の目的
記念切手は、主に以下の目的で発行されています。
- 皇室関係の慶事: 天皇即位、立太子礼、結婚など
- 国家的な行事: オリンピック、万博、国際会議など
- 文化・芸術: 歴史上の人物、文学作品、絵画など
- 科学技術: 宇宙開発、新製品発売など
- 地域・観光: 観光地、特産品、イベントなど
近年では、人気アニメやゲームキャラクターなどを題材にした記念切手も発行されています。
最も売れた記念切手ベスト3
過去に販売された最も売れた記念切手を紹介します。
1位:竜銭切手(一銭第3版)
- 日本の2番目に古い普通切手
- デザインは神功皇后の横顔
- プレミア価格は約2億2千万円
2位:旧高額切手 10円
- 1949年に発行された旧高額切手シリーズのひとつ
- デザインは聖徳太子
- プレミア価格は約1億2千万円
3位:琉球切手 改訂加刷100円
- 沖縄が日本に復帰する前に発行された切手
- 当時、琉球政府が発行した切手の中では最も高額な切手
- プレミア価格は約8千万円
これらの記念切手は、発行枚数が少ない、状態が良い、歴史的に価値が高いなどの理由で高額な値が付きます。
珍しい記念切手ベスト3
過去に販売された記念切手で、珍しい切手3つを紹介します。
- 竜文切手
- 日本の最初の郵便切手。1871年に発行されました。
- デザインは、龍と富士山。
- 当時としては高額な料金設定だったため、あまり使用されなかったことが原因で、現存数が少なく、非常に希少価値の高い切手です。
- 2021年には、東京で開催されたオークションで、2億2000万円で落札されました。
- 隅田川花火切手
- 1909年に発行された記念切手。
- デザインは、隅田川の花火。
- 当時としては珍しい多色刷りの切手であり、コレクターの間で人気があります。
- 現在でも状態の良いものは、数万円で取引されています。
- 明治天皇御大喪礼20銭切手
- 1912年に発行された記念切手。
- デザインは、明治天皇の御霊屋。
- 黒縁の切手は、喪服をイメージして作られたと言われています。
- 現在でも状態の良いものは、数千円で取引されています。
海外の有名な記念切手3つの発売当時の価格と現在のプレミア価格
海外にも記念切手があり、世界初の切手はイギリスで発行され、その後世界各国で発行されるようになりました。
有名な記念切手としては、以下のようなものがあります。
1. アメリカ:月面着陸を記念した切手
- 発売当時:4セント
- 現在のプレミア価格:数千円~数万円(状態やシート、ブロックなど形態によって価格が大きく異なる)
2. 中国:パンダを記念した切手
- 発売当時:8分
- 現在のプレミア価格:数百円~数万円(図柄や発行年、シート、ブロックなど形態によって価格が大きく異なる)
3. ロシア:宇宙開発を記念した切手
- 発売当時:6コペイカ
- 現在のプレミア価格:数百円~数万円(図柄や発行年、シート、ブロックなど形態によって価格が大きく異なる)
郵便切手の製造と販売
郵便切手の製造
日本の郵便切手は、財務省印刷局が製造しています。
以下のような工程を経て、切手が製造されています。
- 原稿の作成 デザイナーによって、切手のデザインが作成されます。
- 製版 原稿をもとに、印刷版が作られます。
- 印刷 印刷機を使って、切手に印刷を行います。
- 検査 印刷された切手に問題がないか、検査を行います。
- 出荷 検査に合格した切手が、郵便局に出荷されます。
郵便切手の販売
郵便切手は、主に以下の場所で販売されています。
- 郵便局
- コンビニエンスストア
- スーパーマーケット
- 金券ショップ
- インターネット
郵便切手販売の許可
郵便切手を販売するには、許可が必要となります。
販売方法によって必要な許可は異なりますが、主に以下の2種類があります。
- 郵便切手類販売業許可
郵便局以外で郵便切手を販売するには、総務省から「郵便切手類販売業許可」を取得する必要があります。 この許可は、販売場所ごとに取得する必要があり、許可を受けられる場所は、以下のとおりです。- 郵便切手類販売所銀行百貨店駅売店
- 古物商許可
未使用の郵便切手を額面以上の価格で販売するには、都道府県公安委員会から「古物商許可」を取得する必要があります。 この許可は、販売場所に関わらず取得する必要があり、古物全般の販売が可能になります。 許可には審査があり、一定の要件を満たす必要があります。
なお、切手類模造等の許可に関する省令 に基づき、郵便切手類を模造したり、販売したりするには、総務大臣の許可が必要となります。
許可なしに販売を行うと、罰則の対象となる場合があります。
まとめ
日本の記念切手は、1894年に発行されて以来、100年以上の歴史があります。発行目的は様々ですが、いずれも その時代の出来事や文化を記念するものです。
記念切手は、単なる郵便切手としてだけでなく、コレクターズアイテムとしても人気が高く、 日本の文化や歴史を知る貴重な資料 でもあります。