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【AIチップ完全ガイド】:GPU・ASIC・NPUの違いと製造工程まで!

半導体
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近年、生成AIや大規模言語モデル(LLM)の普及により、「AIチップ」という言葉を耳にする機会が増えました。
ChatGPTやStable DiffusionなどのAIサービスの裏側では、膨大な演算処理を支える専用半導体が稼働しています。

本記事では、AIチップの種類・特徴・用途・製造工程・市場動向までを解説します。

AIチップとは何か?

AIチップとは、人工知能の学習や推論処理を高速・効率的に実行するために設計された半導体デバイスの総称です。

従来のCPUでは処理が追いつかない並列演算や行列計算を、高速かつ省電力で実行できるよう最適化されています。

以下に代表的なAIチップの種類と特徴を紹介します。

GPU(Graphics Processing Unit)

画像処理用に開発された並列演算プロセッサ。

AI学習に最適で、NVIDIAの「A100」「H100」「Blackwell」などが代表例。

CUDAなどの開発環境も充実。

  • 用途:AIモデルの学習、生成AI
  • 特徴:汎用性が高く、開発者に人気
  • 主なメーカー:NVIDIA、AMD、Intel

ASIC(Application Specific Integrated Circuit)

特定用途に特化した専用チップ。

GoogleのTPUBroadcomのXPUが代表例。

電力効率が高く、クラウド運用に適している。

  • 用途:AI推論、クラウドサービス
  • 特徴:用途特化型で高効率
  • 主なメーカー:Google、Broadcom、Amazon

NPU(Neural Processing Unit)

ニューラルネットワーク処理に特化したユニット。

スマホやIoT機器に搭載され、リアルタイム処理に強い。

  • 用途:スマホ、エッジAI
  • 特徴:低消費電力で応答性が高い
  • 主なメーカー:Apple、Samsung、Huawei

FPGA(Field Programmable Gate Array)

回路構成を後から変更可能な柔軟性の高いチップ。

プロトタイプ開発や通信機器に活用。

  • 用途:エッジAI、通信機器
  • 特徴:再構成可能で柔軟性が高い
  • 主なメーカー:AMD(Xilinx)、Intel(Altera)

SoC(System on Chip)

CPU・GPU・NPUなどを統合したチップ。

スマホや車載機器に広く採用され、AI処理も可能。

  • 用途:スマホ、車載、IoT
  • 特徴:省スペース・省電力
  • 主なメーカー:Apple、Qualcomm、MediaTek

ニューロモルフィックチップ

脳の神経回路を模倣した次世代型チップ。

Intel「Loihi」BrainChip「Akida」などが研究用途で活用。

  • 用途:ロボット、センサー処理
  • 特徴:低消費電力・リアルタイム性
  • 主なメーカー:Intel、BrainChip

GPUとASICの違い

https://www.nvidia.com/ja-jp/data-center/technologies/blackwell-architecture/
https://www.broadcom.com/info/ai/3point5d

GPUは汎用性が高く、AI学習に最適。ASICは用途特化型で、推論処理やクラウド運用に強みがあります。

項目GPUASIC
柔軟性高い低い
処理性能高い非常に高い
電力効率中程度高い
初期コスト低め高め
主な用途学習・生成AI推論・クラウド運用

実例比較:NVIDIA Blackwell vs Broadcom XPU

  • NVIDIA Blackwell(GPU)
    2025年登場の最新GPU。生成AIやLLM学習に最適。
    TSMC 4nmプロセス採用。AWSやAzureなどで導入。
  • Broadcom XPU(ASIC)
    AI推論に特化したカスタムASIC。TSMC 3nmプロセス採用。
    OpenAIやMetaが導入。電力効率とTCOに優れる。

●参考記事:エヌビディア vs ブロードコム― 株価10倍時代に見る“成長の本質”

AIチップ市場の勢力図(2025年)

順位チップ種別市場規模 (推定)主な用途
1GPU約650億ドル以上学習・生成AI
2ASIC約400〜500億ドル推論・クラウド運用
3SoC約150〜200億ドルスマホ・車載
4NPU約80〜120億ドルエッジAI
5FPGA約50〜80億ドル通信・プロトタイプ
6CPU約30〜50億ドル補助処理
7ニューロモルフィック約10億ドル未満研究用途

設計企業とファウンドリの関係

AIチップは「設計」と「製造」が分業されています。

  • 設計企業(ファブレス):NVIDIA、Google、Broadcom、Appleなど
  • 製造企業(ファウンドリ):TSMC、Samsung、Intel Foundry

TSMCは3nm・4nmプロセスで先行し、AIチップ製造の中心的存在です。

製造工程と技術要素

AIチップの製造は以下の工程で進みます:

  1. 論理設計(RTL)
  2. レイアウト設計
  3. マスク作成
  4. ウェハー製造(例:3nm)
  5. パッケージング(CoWoS、HBM統合)
  6. テスト・出荷

微細化技術や先進パッケージングが性能向上の鍵となります。

プロセスノード製品例特徴
7nmNVIDIA A100高性能GPU
5nmApple M1スマホ向けSoC
4nmNVIDIA Blackwell最新GPU
3nmBroadcom XPU次世代ASIC

AIチップ選定戦略

用途に応じて最適なチップを選ぶことが重要です。

用途最適チップ理由
AI学習GPU柔軟性と並列処理性能
AI推論ASIC、NPU電力効率と処理速度
エッジAINPU、FPGA、SoC省電力・リアルタイム性
プロトタイプFPGA回路変更が可能
スマホ・IoTSoC、NPU統合型で省スペース

今後の技術展望

  • 微細化の限界突破:2nm・1.4nmプロセス、GAA構造、3D積層技術
  • メモリ帯域の進化:HBM4/5、CXL、オンチップストレージ
  • 市場構造の変化:GPU一強から用途別多様化へ
  • 設計思想の転換:用途最適化型、モデル統合型、再構成可能設計

まとめ

AIチップは、AI社会を支える戦略的技術資産です。今後は「選ぶ」だけでなく「創る」時代へ

用途・設計・製造・市場動向を総合的に理解し、最適な選定と活用が求められます。

本記事を通じて、GPU・ASIC・NPUなどのアーキテクチャの違いや、設計思想、製造工程、市場構造までを体系的に理解することで、半導体エンジニアとしての視野と技術理解を大きく広げることができます。

特に、用途別の選定基準や実例比較、製造プロセスの詳細は、AIチップ開発や選定に関わる技術者にとって実践的な知識となるでしょう。 AI時代の設計・製造・応用を俯瞰する力を養う一助として、ぜひ活用してください。

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