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2030年の半導体勢力図を勝手に予測してみたー国別グローバル市場予測ランキングと根拠ー

半導体
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今後の半導体勢力図を公開情報を整理し、国別で勝手にランキングしてみました。
社会情勢等々で勢力図は変化を続けますが、個人的な見解としてご理解していただき、ご興味がありましたら読んでください。

はじめに

昨今、SEMI(業界団体)の予測では、半導体市場(売上高ベース)は2030年に約1兆米ドル規模にまで成長すると言われています。また、複数の市場調査でもほぼ1兆ドル前後まで成長予想されています。

しかし、世界の社会情勢は、ますます激化へと進み、経済においても大きく影響を受けています。

このコラムでは、半導体関連の「半導体製造装置」「半導体製造用素材・材料」「半導体製造装置用部品」についてグローバル市場を国別の売上ランキングから2030年の国別勢力図を予測します。

今後の半導体市場の見方の参考になれば幸いです。

2024年国別ランキング(売上)と2030年予測

下の3表は「半導体製造装置」「半導体製造用素材・材料」「半導体製造装置用部品」について、2024年の国別市場ランキングと2030年の予測を示したものです。

装置・材料の世界市場の拡大見通しは複数調査でCAGR約7–8%が示されており、2030年にかけて堅調に伸びる予測がされてます。

表1:半導体製造装置 国別ランキング(2024年/2030年予測)

年次1位2位3位4位5位
2024日本韓国台湾中国米国
2030(予測)米国中国日本台湾韓国

Sources: 世界市場は2030年へ7–8%成長の見通し(国別順位は業界投資動向・政策からの推定)

表2:半導体製造用素材・材料 国別ランキング(2024年/2030年予測)

年次1位2位3位4位5位
2024日本台湾韓国中国米国
2030予測日本台湾米国韓国中国

Sources: 材料市場はウェハ・レジスト・パッケージの需要拡大で成長(国別順位は供給体制・品質競争力からの推定)

表3:半導体製造装置用部品 国別ランキング(2024年/2030年予測)

年次1位2位3位4位5位
2024日本米国台湾韓国中国
2030予測日本米国台湾韓国中国

Sources: 装置市場の拡大に連動して部品も増勢。アジアの製造集積が牽引(国別順位は供給網・品質・納期体制からの推定)

日本の強み・弱み

強み

  • 品質・歩留まり主導:
    ウェハ、フォトレジスト、CMP、スラリー、精密部品の品質安定性が世界標準。
    装置では成膜・洗浄・検査の信頼性が高い。
  • 供給網の深さ:
    中堅・部品・治具・材料まで連鎖が強固で、トレーサビリティと長期安定供給が可能。
  • 顧客密着の共同開発:
    TSMC・Samsung・米IDMと工程最適化で粘り強く改善し、“工程差”で価値を出す。

弱み

  • 設計・プラットフォーム主導権の不足:
    NVIDIAやQualcommのようなアーキテクチャ支配を持たないため、超過利潤は限定的。
  • 先端ロジック×量産のギャップ:
    Rapidusなどの挑戦は進むが、EUV世代の量産トラックレコードが短く、立ち上げの難度が高い。
  • 政策スピードと規模:
    CHIPS法の米国、国家動員型の中国に比べ、意思決定と資金投入の機動力が劣後しがち。

2030年の勢力図(次世代半導体・次世代パッケージ)

製造装置

  • 米国が1位に浮上:
    CHIPS法の継続投資、Intel/Micronの米国内増設、先端パッケージ装置含む購買が米国内で増加。
  • 中国が2位へ:
    自国内の成熟ノード拡大と制限下での国産装置導入が増える。
    EUVなどは難しいが、成熟・特殊プロセスで台数ベース需要が大きい。

素材・材料

  • 日本が継続首位:
    最先端レジスト、高純度ウェハ、先端パッケージ材料で品質優位を維持。
    米国は国内シフト、台湾はTSMC需要。

装置用部品

  • 日本が首位維持:
    真空・ガス・静圧・セラミックス・超精密加工などの“見えない機能部”で不可替性。
    米国は自国内装置投資増。

なぜそのように予測するのか

  • 需要地ベースの伸長:
    米国は補助金・税控除・安全保障で国内製造の“需要地化”が進み、装置の販売額が米国内で伸びる構造。
    世界装置市場の成長率は2030年に向けて年率7–8%程度と見込まれ、地域シフトが順位に反映される。
  • 中国の量的拡大:
    規制により先端ノードの天井はあるが、成熟ノード・特色プロセス・パッケージで工場数の積み上げが進む。
    台数ベースの装置・部材需要が増加。
  • 日本の“品質の城壁”:
    材料・部品は代替困難な品質と工程適合性が価値の源泉で、短期的な国産化で崩しにくい。
    材料市場自体も堅調に拡大し、品質主導の日本が優位を維持。
  • 先端パッケージの地政学:
    CoWoS、SoIC、Foverosなど先端パッケージ拠点が米・台に集中。
    関連装置(成膜・エッチング・検査・熱圧着・ラミネーション)需要が米・台に集まる一方、材料・部品は日本比率が高いまま。

2030年における日本の位置づけと姿

  • 装置: 世界3位(強い輸出プレゼンス)
    成膜・洗浄・検査・ダイシングなどで競争力維持。需要地としての国内比率は米・中に及ばないが、グローバル販売で存在感を保つ。
  • 材料: 世界1位(品質と共同開発で“不可替”)
    EUV世代レジスト、先端封止材料、高純度ウェハでトップ。
    顧客工程最適化に深く入り、“工程の黒子”として利益確保。
  • 部品: 世界1位(精密加工・セラミックス・真空・ガス制御)
    装置の心臓部である消耗・機能部品の品質・寿命で差を付け、サプライチェーンの安全弁を担う。
  • 戦略の鍵: 選択的集中+共創
    先端パッケージ(2.5D/3D、背面配線、ハイブリッドボンディング)と量産工程の歩留まり改善で、材料・部品と装置を“束ねる”共創(顧客別工程最適化)を深化させる。

日本が順位と価値を最大化するためには

  • 先端パッケージ×材料・装置の三位一体:
    ハイブリッドボンディング、先端再配線、背面配線向け材料群と、それに対応した洗浄・成膜・検査装置のパッケージ統合を推進。
  • 工程IP化:
    材料・部品・装置を束ねた“工程レシピ”を知財化し、顧客ごとに黒箱化して差別化。
  • サプライセキュリティの可視化:
    部材のロット管理・トレーサビリティ・リスク評価を標準化し、顧客の安心を価値に転換。
  • 人材融合:
    材料化学×装置制御×データ解析のハイブリッド人材を育成し、工程最適化の速度を上げる。

半導体製造関連の国別総合ランキング(装置+材料+部品)

まず結論を端的に。
2024年の総合ランキング(装置・材料・部品の合算)は日本が首位。
装置需要地の拡大(米・中)と先端パッケージの集積が進むため、2030年は米国が総合1位に浮上、日本は材料・部品の強みで2位を維持、中国は成熟ノード拡大で3位圏内に食い込む可能性が高いでしょう。

2024年実績と2030年予測の総合ランキング

2024年の総合ランキング(装置+材料+部品の合算)

順位国・地域概況
1日本材料・部品で圧倒的。装置も強く、合算で最大。
2韓国装置需要が大きく、材料・部品も一定規模。
3台湾装置需要+パッケージ材料が牽引。
4中国成熟ノード拡大で装置・材料需要が増勢。
5米国企業は強いが、需要地としては2024時点では中位。
6欧州ASMLが象徴的だが、需要地の販売額は相対的に小さい。

注:国別は「需要地(購入国)ベース」の合算。企業籍ではなく、どの国で装置・材料・部品が販売されたかの集計。

2030年の総合ランキング予測(装置+材料+部品の合算)

順位国・地域概況
1米国製造回帰と先端パッケージ投資で装置・部品の需要が国内に集積。
2日本材料・部品の“不可替”で存在感を維持、装置も堅調。
3中国成熟ノードの量的拡大と国産化で装置・材料の国内需要が増加。
4台湾先端パッケージ(CoWoS等)の需要継続。
5韓国メモリ市況次第で上下。内製補完+海外装置依存の構造を維持。
6欧州露光の供給拠点として重要だが、需要地としては限定的。

まとめ

2030年の半導体地図は、まだ誰にも描き切れない未完成のキャンバスです。
ただ一つ確かなのは、日本が持つ“工程を支える静かな力”が、これからの世界の半導体を裏側で動かし続けるということ。

派手さはなくても、誰よりも精密に、誰よりも誠実に。
その積み重ねが、次の10年の競争地図を静かに変えていくはずです。

この予測が、皆さん自身の未来戦略を考える小さなヒントになれば嬉しく思います。

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