本塁打王2度のサミー・ソーサ元外野手(56)が12月19日、過去の行いについて謝罪する声明が発表された。
日米のそれぞれの球界にて、強打者によるホームランが極めて多く出た時代があった。
MLBで、過去に何が起きたのか。そして 日本プロ野球界でも起きた「飛ぶボール」問題の今は、どうなったのか。
MLBにおけるステロイド問題とホームラン
問題の発端と背景
MLBでステロイド問題は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて問題化しました。
問題が起きた主な要因は、以下の3点と推測されます。
- ステロイドは筋力増強や疲労回復を促進する効果があり、選手たちは、怪我を負いながらシーズンを通して戦うために使用する選手が増えたと考えられます。
- 1990年代にはステロイドの使用を禁止する規定がなく、薬物検査も行われていませんでした。
そのため、選手が薬物を使用しても罰則を受けることはありませんでした。 - 1994年のMLBストライキ後のファン離れを防ぐため、エンターテインメント性の高い試合(特にホームランが多い試合)が求められ、これが間接的に薬物使用を助長したとも言われています。
当時の疑惑とホームラン記録
ステロイド問題が注目されるきっかけとなったのは、1998年のマーク・マグワイアとサミー・ソーサとの本塁打競争です。
- 1998年のホームラン競争
マグワイア(70本)とソーサ(66本)が1シーズンのホームラン記録を更新しました。
しかし、後にマグワイアのステロイド使用が判明し、この記録が疑念の目で見られるようになりました。 - バリー・ボンズの記録
2001年、バリー・ボンズがシーズン73本塁打の新記録を樹立し、ボンズもステロイド疑惑の渦中にあったため、彼の記録も議論の対象となりました。
経緯の概要
- BALCOスキャンダル(2003年)
2003年夏に発覚した栄養補助食品会社のバルコ(BALCO)がアスリートに検査で検出されない運動能力向上薬物を提供していたとされるスキャンダルです。
疑惑は野球界をはじめ、スポーツ界に広がり、多くのアスリートが使用していたことが明らかになりました。 - ミッチェル報告書(2007年)
元上院議員ジョージ・ミッチェルによる調査報告書で、約90名の選手がステロイド使用を疑われる名前として挙げられました。 - MLBの対策強化
2003年に薬物検査制度が導入され、2004年には陽性反応に対する罰則が設けられました。
その後も制度は改訂され、対応が強化されています。
現在の状況と認識
- 薬物検査の徹底
現在、MLBは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の基準に沿った薬物検査を行い、ステロイドの使用を取り締まっています。 - 記録への評価
ステロイド時代の選手の記録は、今でも論争が続いてます。
日本のプロ野球における「飛ぶボール」問題
問題の発端と背景
- 飛ぶボールとは
「飛ぶボール」とは、通常のボールよりも反発係数が高く、打球が遠くまで飛びやすい特性を持つボールのことです。 - 背景
日本プロ野球では観客動員や試合のエンターテインメント性向上のために、打撃戦が好まれたために反発係数が高めのボールが使用され試合に興奮を与えてました。
特に1990年代後半から2000年代初頭は、この傾向が顕著でした。 - 公認球の統一化
2011年、NPBは公認球を統一しました。
しかし、反発係数の基準設定や管理体制に対する疑念が残りました。
当時の疑惑とホームラン記録
- ホームラン数の急増
飛ぶボールが使用されると、1シーズンのホームラン数が劇的に増加してました。 - 特定シーズンの異常な記録
2013年に統一球の反発係数が基準より高いことが判明しています。
経緯の概要
- 2011年:統一球導入
公認球が統一され、反発係数の基準が設定されました。 - 2013年:反発係数問題の発覚
NPBが反発係数を調整していたことが判明し、選手やファンに公表されていなかったことで批判が集中しました。 - 以降の対応
2014年以降は、反発係数の基準値は管理され、シーズンごとの検証結果が公表されるようになっています。
現在での状況と認識
- 反発係数の管理強化
現在は、反発係数の測定や管理体制が透明化され管理されています。 - ホームラン数の自然な増加
近年は飛ぶボール問題がほぼ解決したと認識されているのが全体を占めています。
筋力トレーニングなどの肉体改造で、ホームランの数は増えています。
まとめ
過去の出来事を知り、そして現在、未来へ最良な方向へ進めることは、いたるところで考える手段の一つです。
MLBのステロイド使用は薬物使用として厳しく取り締まりが行われています。
NPBでの「飛ぶボール」問題は、管理体制が大幅に改善されたことで公平な公認玉で試合が行われています。