ローソンは、以前より過疎地域への出店戦略を展開しています。
今年、10月には唯一のスーパーが撤退した「竜神村」（和歌山県田辺市）に「ローソン龍神村西店」を24時間・年中無休でオープンしました。
ローソンの過疎地域戦略、出店事例の成功と失敗を知り企業の地域貢献を考えてみよう。
ローソンの過疎地域への出店戦略
ローソンが過疎地域へ出店する最大の狙い
ローソンが過疎地域へ出店する最大の狙いは、地域社会への貢献と持続可能なビジネスモデルの構築と伝えています。
- 地域貢献の強化
過疎地域で、住民に買い物できる場所を提供することで、地域の生活環境を改善し、地域社会への貢献を目指しています。
特に、高齢者が多い地域は、買い物の不便さは生活に影響を与えるため、ニーズに応えています。 - ブランディングと顧客の愛顧向上
過疎地域へ出店することでブランドイメージを向上させ、且つ地域住民からの支持を得る戦略でもあります。 - ビジネスの持続可能性
過疎地域でもビジネスが成り立つように、人口や地域の特性などの分析を行い出店計画を立てています。 - 地域ニーズの商品を提供
地域の特産品や住民のニーズに応じた商品を取り扱います。
それにより、地域住民の生活を支える役割に貢献を果たしています。
また、地域と密着し顧客の満足度を高めることをしています。
ローソンは過疎地域への出店を通じて、地域社会との共生を図り、持続可能なビジネスモデルを構築することを進めています。
ローソンの出店事例
ローソンの主な出店事例を紹介します。
- ローソン八頭町丹比（やずちょうたんぴ)店（鳥取県）
概要: 2024年11月にオープンしたこの店舗は、過疎化により閉店したスーパーの跡地に設置されました。地元のスーパーマーケットと連携し、新鮮な野菜や肉、魚を取り扱うことで、地域住民の食料品アクセス問題を解決しています。
成功要因: スーパーが撤退した後、買い物がし辛い環境となっていましたが、ローソンの開店により緩和されています。また、地元のニーズに応じた商品提供も行われているようです。
- ローソン龍神村西店（和歌山県）
概要: 2024年10月にオープンしたこの店舗は、唯一のスーパーが閉店した地域に設置され、地域住民の買い物場として機能しています。
成功要因: スーパーが撤退した後、最寄りのスーパーへは、車で片道３０分かかり、また 地域住民の高齢化率が高いという地域性からも、ローソンの開店により緩和されています。
- ローソン上厚真店（北海道）
概要: 2024年4月にオープンしたこの店舗は、買い物困難地域であり、地元の要請を受けて出店されました。過疎地域における買い物の利便性を向上させています。
成功要因: この地域では、最寄りのコンビニまでは約10㎞あり、また60歳以上の人口比率が4割を超えていることもあり、ローソンの開店により買い物の問題が緩和されています。
- ローソン阿南町店（長野県）
概要: 2024年７月にオープンしたこの店舗は、人口958人で高齢化率は50.9%の地域に出店されました。そして、地域住民の買い物場として機能しています。
他の出店事例（セイコーマートと移動スーパー「とくし丸」）
ローソン以外にも、多くのコンビニ企業なども過疎地域への出店戦略を展開しています。
ここでは、その中の企業で注目する、「セイコーマート」や移動スーパー「とくし丸」の事例を紹介します。
セイコーマート
- セイコーマート初山別村店（北海道）
概要: 2014年に人口約1000人の初山別村に出店しました。
- セイコーマートうえだ上士幌店（北海道）
- セイコーマート たちばな大樹店（北海道）
- セイコーマート美瑛町店（北海道）
概要: 美瑛町に出店されましたが、他社の出店により顧客が流出し閉店に至っています。 - セイコーマート上川町店（北海道）
- セイコーマート剣淵町店（北海道）
概要: 剣淵町に出店されましたが、地域住民の利用を得られず閉店に至ってます。
移動スーパー「とくし丸」
- とくし丸南阿蘇店（熊本県）
概要: 南阿蘇村に出店し、高齢者や移動が困難な住民に対して、定期的に食料品を届けるサービスを提供しています。 - とくし丸大分店（大分県）
概要: 大分県内の過疎地域に出店し、地域住民の生活を支える役割を果たしています。 - とくし丸北九州店（福岡県）
概要: 北九州市の過疎地域に出店し、地域住民の買い物環境を改善しています。 - とくし丸長崎店（長崎県）
概要: 長崎県の過疎地域に出店したものの、商圏人口が予想を下回り、閉店に至りました。 - とくし丸佐賀店（佐賀県）
概要: 佐賀県に出店したが、競合他社の出店により顧客が流出しました。 - とくし丸熊本店（熊本県）
概要: 熊本市内の過疎地域に出店したものの、地域住民の利用が少なく、閉店に至りました。
成功要因の推測
ローソンの成功要因
- 地域密着型のビジネスモデル
ローソンは、地域の特性や住民のニーズを分析し出店計画を立てています。
特に、高齢者が多い地域では、車を持たない住民が買い物に行きやすいように、店舗の立地や商品構成を工夫ていると考えます。 - 地域との連携
地元の農産物や特産品を積極的に取り入れることで、地域経済の活性化に寄与しています。
また、自治体との協力を通じて、地域の生活支援や見守り活動にも関与し、地域住民との信頼関係を築いているようです。 - 柔軟な商品展開
地域のニーズに応じた商品を提供することで、住民の生活に密着したサービスを展開しています。例えば、地元の野菜や特産品を取り入れた商品ラインナップを用意することで、地域住民の支持を得ています。
セイコーマートの成功要因
- 独自のサプライチェーン
セイコーマートは、北海道を中心に独自の物流網を構築し、過疎地域でも効率的に商品を供給できる体制を整えています。 - 地域密着のサービス
店内調理や地元産品の取り扱いを強化し、地域住民のニーズに応える商品を提供しています。特に、北海道産の食品を多く取り入れた商品展開を行っています。 - コミュニティの中心としての役割
セイコーマートは、地域のコミュニティの中心としての役割を果たしています。住民が集まる場所としての機能を持ち、地域の活性化に寄与しています。
移動スーパー「とくし丸」の成功要因
- 高齢者への特化
とくし丸は、特に高齢者の買い物支援を目的とした移動販売を行い、地域の高齢者が買い物に行きやすい環境を提供しています。 - 官民連携の強化
地域の社会福祉協議会や自治体と連携し、地域のニーズに応じたサービスを提供しています。 - 見守り活動の実施
買い物支援だけでなく、訪問時に高齢者の健康状態を確認する見守り活動も行い、地域住民の安心感を高め、地域社会との信頼関係を築いています。
まとめ
過疎地域での成功には、地域のニーズを的確に把握し、柔軟に対応することが重要です。
ローソン、セイコーマート、移動スーパーとくし丸の各社は、それぞれの強みを活かし、地域密着型のサービスを提供し、地域社会との結びつきを強くしています。
これこそが、過疎地域でもビジネス継続することができる秘訣ではないかと思います。
実現は、うまくいかない事例も沢山あり、今後の高齢化社会に進む中では解決困難な重大な課題ですが、成功事例は確実に存在してます。
