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【目から鱗】バイデン大統領、日鉄のUSスチール買収中止命令、米大統領権限と日本総理権限の違い

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2025年1月の報道で、バイデン米大統領による日本製鉄のUSスチール買収計画に対する中止命令がだされた報道がでています。

アメリカ大統領には、企業間で合意している買収に対して、中止命令を出す権限があったことを知った方も多くいるのではないでしょうか。

日本の総理大臣の権限はどうなのか。

アメリカ大統領の買収中止命令の権限

バイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収中止命令は、国家安全保障に関する懸念を理由としてとしています。

この決定は、アメリカの法律に基づき、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を経て行われています。

大統領の権限と法的背景

対米外国投資委員会(CFIUS)の役割
CFIUSは、外国からの投資がアメリカの国家安全保障に与える影響を評価するための政府機関です。
日本製鉄のUSスチール買収計画は、CFIUSによる審査を受けましたが、全会一致には至らず、最終的な判断がバイデン大統領に委ねられました。
このような状況で、アメリカ大統領は国家安全保障を守るために必要な措置を講じる権限を持っています。

大統領の決定
バイデン大統領は、USスチールがアメリカの鉄鋼業界において重要な役割を果たしていることを強調し、外国企業による支配がもたらすリスクを懸念しました。
バイデン大統領は、「国内で所有・運営される強力な鉄鋼産業は国家安全保障上の重要な優先事項である」と述べ、買収を禁止する命令を出しました。

反応と影響

企業の反発
日本製鉄とUSスチールは共同声明を発表し、バイデン大統領の決定が政治的な思惑に基づくものであり、国家安全保障に関する具体的な証拠が提示されていないと批判しました。
彼らは法的権利を守るためにあらゆる措置を講じる意向を示しています。

政治的背景
この買収問題は、2024年の大統領選挙を控えた政治的な文脈の中で重要な争点となっており、バイデン大統領の決定は、労働組合や国内産業を守る姿勢を示すものとして評価されています。
しかし、同時に他の外国企業からの投資を萎縮させる可能性も指摘されています。

結論

バイデン大統領には、国家安全保障を理由に外国企業によるアメリカ企業の買収を阻止する権限があります
この権限は、CFIUSの審査を経て行使されるものであり、アメリカの産業と労働者を保護するための重要な手段とされています。

日本の総理大臣は企業間買収中止命令の権限はあるのか

日本の総理大臣には、アメリカのバイデン大統領が持つような国家安全保障に基づく外国企業の買収を直接的に阻止する権限はありません。

しかし、一定の影響力を持つ制度や法律があります。

日本における外国投資の規制

外為法の適用
日本では、外国からの投資に関して「外国為替及び外国貿易法(外為法)」が適用されます。
この法律は、特定の業種や企業に対する外国からの投資を監視し、必要に応じて事前の届出や許可を求めることができます。
特に、国家の安全保障に関わる分野では、外為法に基づく規制が強化されることがあります。

経済産業省の役割
日本の経済産業省は、外国からの投資が国家安全保障に与える影響を評価する役割を担っています。
特に、重要なインフラや技術に関連する企業への投資については、慎重な審査が行われます。
総理大臣は、経済産業省の方針や判断に影響を与えることができますが、最終的な決定権は省庁に委ねられています。

総理大臣の影響力

外交的な圧力
総理大臣は、外交的な観点から外国企業の投資に対して意見を表明したり、政府としての立場を示すことができます。
例えば、特定の外国企業による買収が日本の国家安全保障に影響を及ぼすと判断した場合、総理大臣はその旨を公にし、政府の方針を示すことができます。
しかし、法的に買収を直接阻止する権限は持っていません。

政治的な影響
総理大臣は国会や政党を通じて、外国投資に関する法律や規制の改正を提案することができます。
これにより、外国企業の投資に対する規制を強化することが可能ですが、これも議会の承認が必要です。

結論

日本の総理大臣は、外国企業の買収を直接的に阻止する権限は持っていません。
しかし、外為法や経済産業省の審査を通じて、国家安全保障に関する懸念を表明し、影響を与えることができます。
したがって、アメリカの大統領と同様の権限を持つわけではありませんが、一定の政治的・外交的な影響力を行使することは可能です。

アメリカ大統領の企業間買収命令、過去事例

アメリカでの、大統領による買収中止命令の過去事例を紹介します。

Ralls Corporationの買収阻止(2012年)

2012年、オバマ大統領は中国企業のロールズ・コーポレーションによるアメリカの風力発電会社の買収を禁止しました。
この決定は、国家安全保障に関する懸念から行われ、ロールズ社はその後、裁判を起こしました。
最終的に、連邦控訴裁判所はオバマ政権の決定が適正な手続きを踏んでいなかったと判断し、和解に至りました。

Lattice Semiconductor Corporationの買収阻止(2017年)

2017年、ドナルド・トランプ大統領は、中国の投資ファンドがLattice Semiconductor Corporationを約13億ドルで買収する計画を阻止しました。
この決定は、国家安全保障上の懸念に基づいており、特に半導体産業における技術の流出を防ぐことが目的でした。
トランプ政権は、Latticeが重要な技術を持っているため、外国の支配下に置かれることはアメリカの国益に反すると判断しました。

BroadcomによるQualcommの買収阻止(2018年)

2018年、トランプ大統領はBroadcomによるQualcommの約1170億ドルの買収提案をブロックしました。
この決定も国家安全保障を理由にしており、特に5G技術の競争においてQualcommが持つ重要な地位を守るためのものでした。トランプ政権は、Broadcomがシンガポールに本社を置く企業であることから、アメリカの技術が外国に流出するリスクがあると懸念しました

まとめ

バイデン大統領によるUSスチール買収阻止命令は、アメリカの国家安全保障と労働者の雇用を守るための重要な一歩と見なされますが、同時に国際的な投資環境や日米関係に緊張をもたらす可能性も秘めています。
今後の法的な展開や企業の対応が注目される中で、アメリカの保護主義的な傾向がどのように進展するかが重要な焦点となるでしょう。

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