設計・製図の世界は、今はCAD(3D-CAD、AUTO-CAD)が一般的に用いられます。
過去より、その弊害からなのか手書き図面を書いていた時代にくらべ設計者のセンスという点劣っている部分があるといわれています。
今更、手書きに戻る必要はありませんが、手書き図面の良き部分を見直し、将来のCADを空想してみました。
手書き図面で学べる設計センス
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昔、製図は、ドラフターというツールを用いて書いていました。
(ちなみに、製図版という板で製図をすることもありました)
製図に必要な道具は、T定規、三角定規(大型)、コンパス、ディバイダ、などを用いて書いてました。
製図の用紙には、トレース紙、青焼き紙、第二原紙 と3つの用紙が存在してました。(解説は省略します)
手書き図面で育つ6つの設計センス
手書きで製図をすると以下のような力が身につくようになります。
- 空間認識力:頭の中で2D図面から3D形状を正確にイメージする力
- 論理的思考:構造や機構を理論的に整理しながら描く力
- 図面の読み解き力:手書き経験があると、他人の図面を素早く理解できます
- 直感的な理解:CADでは気づかない設計の不具合を手書きで発見できます
- 寸法・公差の感覚:手で書くことで「許容できる誤差」の感覚が養われる
- 創造力:自由にアイデアをスケッチしながら、設計を発展させる力
例えば、自動車のサスペンションの設計では、手書きスケッチを通じて「力の流れ」や「動きの干渉」を直感的に理解し、より優れた設計を生み出すことができます。
3D-CADの登場とその最大のメリット
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手書き図面が持つ価値はあるものの、設計の現場では3D CADの活用は不可欠です。
最大のメリットを3つ紹介します。
- スピードと正確性の向上
・手作業では数時間かかる図面が、CADなら数分で作成可能です。
・例えば、航空機エンジンの部品設計では、細かい曲線・複雑な形状を正確且つ容易に描けます。 - シミュレーション機能の強化
・強度解析(FEM)や流体解析(CFD)をCAD上で実施できます。
・自動車の空力設計では、実際の風洞実験を行う前に、3D CAD上でシミュレーションができます - データ管理・共有の利便性
・クラウドを活用し、設計データを世界中のチームと共有ができます。
・例えば、トヨタのグローバル開発チームは、日本・アメリカ・ヨーロッパ間でCADデータをリアルタイムでやり取りし、開発期間を短縮しています。
今後の3D CADの進化と最先端技術
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3D‐CADは今後さらに進化し、以下の3つの方向性が注目されます。
- AIによる設計の自動化 → ジェネレーティブデザインにより、強度・軽量化を最適化します。
- クラウド&リアルタイムコラボレーション → 遠隔地でもリアルタイム設計が可能となります。
- VR/ARとの統合 → 仮想空間で設計物を確認しながら、直感的にデザインすることができます。
例えば、建築設計ではVRを活用して設計した建物の内部を歩きながら確認できるようになります。
量子コンピュータCADがもたらす未来
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将来、未来の技術として量子コンピュータを活用したCADが登場したと想像しると、設計プロセスは劇的に変わるでしょう。
- 設計最適化が爆速化 → 数千通りの設計案を一瞬で生成することができるでしょう。
- 新素材・新構造の開発 → 原子レベルの材料シミュレーションが可能となり、未知の新素材設計ができるでしょう。
- シミュレーションの超高速化 → F1カーの空力解析などがリアルタイムで完了できるほど、処理スピードは超高速となるでしょう。
例えば、宇宙探査機の耐熱設計では、これまで数カ月かかっていますが最適設計が数秒で完了し、開発スピードが飛躍的に向上する期待があります。
まとめと今後の展望
設計ツールは手書き図面から3D CAD、そして量子コンピュータCADへと進化し続けています。
今後、設計者の役割は「単なるモデリング」から「技術とデータを活用して最適な設計を導き出す能力」が求められるでしょう。
技術の進化に適応しながら、設計者としてのスキルを磨き続けることが重要です。
その時、手書き図面での設計者に与えていたメリットを見つめてみましょう。そして 同時にこのことをデジタル化にできれば更に進化は続くでしょう。