政府の補助金の縮小で、ガソリン価格の高騰が続いている。
2025年1月16日以降、補助金が、はさらに縮小となり、レギュラーガソリン1Lあたり5円程度の値上げが予想されよう。
ガソリンの世界標準から見た、日本のガソリン価格は安いのか、高いのか。
そして、ガソリン価格の構成を調べた。
ガソリン価格の推移
グラフ・総務省統計局「東京都区部の「自動車ガソリン」「灯油」の長期時系列:昭和41年(1966年)~最新月」より筆者作成
1966年4月ごろは、1リットル50円だったガソリン価格は、オイルショックの影響もあり1982年には177円まで高騰しています。
(オイルショックの際には、原油価格の引き上げに対して、当時の中曽根康弘大臣が紙の節約を呼びかけると、国民の間では「紙の節約=紙が無くなる」というデマ情報が広まり、パニック状態に陥ることもおこりました。)
その後、リーマンショックなどの社会問題の中ガソリン価格は上下し、2024年の時期には175円前後を推移しています。
ガソリン価格に影響を与えた世界的な出来事
1996年から2024年にかけて、ガソリン価格は、世界情勢の様々な出来事によって大きく変動してきました。
ガソリン価格に影響を与えた国内外の主な出来事を紹介します。
1990年代後半~2000年代前半:アジア通貨危機、ITバブル崩壊
- アジア通貨危機(1997年)
タイを起点にアジア諸国で通貨危機が発生しました。
新興国の経済成長が鈍化し、原油需要が減少となり、一時的にガソリン価格が下落しました。 - ITバブル崩壊(2000年頃)
IT業界の過熱感が収束し、世界経済が減速しました。
原油需要が減少、ガソリン価格が下落しました。
2000年代中盤~後半:原油価格の高騰、金融危機
- 原油価格の高騰(2004年以降)
新興国の経済成長による原油需要の増加、中東情勢の不安定化などが要因となり、原油価格が大幅に上昇し、ガソリン価格も連動して高騰しました。 - リーマン・ショック(2008年)
米国のサブプライムローン問題が発端となり、世界的な金融危機が発生しました。
経済活動が停滞し、原油需要が減少し、ガソリン価格が急落しました。
2010年代:アラブの春、シェール革命、OPECの減産
- アラブの春(2011年)
中東・北アフリカ地域で民主化を求めるデモが勃発しました。
政情不安が長期化し、原油供給が不安定になり、ガソリン価格が上昇する要因となりました。 - シェール革命(2010年代)
米国でシェールガス・オイルの生産技術革新がおこり、原油供給が増加したことで原油価格が下落し、ガソリン価格が安くなりました。 - OPECの減産(2016年以降)
石油輸出国機構(OPEC)が、原油価格を維持するために減産を実施しました。
原油価格が上昇し、ガソリン価格に影響を与えました。
2020年代:新型コロナウイルス感染症、ウクライナ危機
- 新型コロナウイルス感染症(2020年)
世界的なパンデミックにより、経済活動が停滞し、原油需要が大幅に減少しました。
ガソリン価格が急落し、その後、経済回復に伴い、徐々に価格が上昇しました。 - ウクライナ危機(2022年)
ロシアのウクライナ侵攻により、原油市場が混乱し、原油価格が急騰しました。
ガソリン価格が歴史的な高値を記録しています。
ガソリン価格は、世界的な原油市場の動向の他に、各国の経済状況、政治情勢、政策など、様々な要因によって影響を大きく受けています。
近年では、新興国の経済成長、気候変動問題などが、ガソリン価格の変動に影響を与える要因となっています。
世界各国のガソリン価格
世界の主な国のガソリン価格を紹介します。
2024年12月時点の世界主要国のガソリン価格(参考値)
注: ガソリン価格は日々変動するため、以下の情報はあくまで2024年12月時点の概算値です。
また、各国間の比較には、為替レートの変動、税金体系の違い、ガソリンの種類の違いなど、様々な要因が影響するため、注意の上、ご覧ください。
今後のガソリン価格の行方
2025年のガソリン価格は、政府の補助金政策、トリガー条項の影響、国際的な原油価格の動向、地政学的リスクなど、複数の要因によって変動することが予想されます。
特に、政府の補助金政策やトリガー条項については今後の動向に注目が必要と考えられます。