グーグルマップの口コミ欄の投稿した内容について、投稿者に200万円の賠償と投稿の削除を命じる判決が下された。
口コミを投稿する時に、注意・考えるべきポイントを紹介します。
グーグルマップの口コミ裁判について
口コミに関する判例が出ましたね。今回のグーグルマップの口コミ投稿の判例です。
グーグルマップの口コミ欄の訴訟にて、「名誉を毀損(きそん)し、社会的評価を低下させた」とし、投稿者に200万円の賠償と投稿の削除を命じる判決がくだされました。今回は、口コミの投稿者に対しての訴訟でした。
また、Googleは、プラットフォーム事業者として、違法な投稿を放置していたとして批判を受ける可能性がありますが、現時点では、Googleに対して訴訟は提起されていません。
過去、口コミに関する判例
最近の判例より、口コミに関する訴訟事例を見てみましょう。
「食べログ」の口コミでラーメン店が50万円の損害賠償金勝利(2023年11月)
- 概要:
東京都内のラーメン店が、「食べログ」に虚偽の低評価レビューを投稿されたとして、投稿者男性を訴え、50万円の損害賠償と投稿削除を命じる判決を勝ち取りました。 - ポイント:
投稿内容が客観的な事実と著しく異なる虚偽情報であり、店の営業に悪影響を与えた点が認定されました。
ホットペッパーの口コミで美容院が30万円の損害賠償金勝利(2023年9月)
- 概要:
大阪府内の美容院が、ホットペッパーに虚偽の悪評を投稿されたとして、投稿者女性を訴え、30万円の損害賠償と投稿削除を命じる判決を勝ち取りました。 - ポイント:
投稿内容が事実と異なる誹謗中傷であり、美容院の営業に損害を与えた点が認定されました。
医師がSNSで同僚を中傷、名誉毀損で損害賠償命令(2022年9月)
- 概要:
福岡市内で勤務する医師が、SNS上で同僚医師を中傷する投稿をしたとして、訴訟を起こされた。福岡地裁は、投稿内容が名誉を毀損するものと認め、医師に対し約220万円の損害賠償を命じる判決を下した。 - ポイント:
この判例は、SNS上の投稿も口コミと同様に、名誉毀損の対象となることを示しています。医療従事者であっても、SNS上で誹謗中傷を行うことは許されないことが明確になった。
判例からの法改正
これらの判例から改正等がされた法律の一例です。
景品表示法
- 2023年10月1日より「景品表示法」が改正され、「ステマ規制」が導入されました。
これは、消費者が広告であると認識できない口コミ投稿を禁止するものです。
具体的には、以下のような行為が規制対象となります。- 金銭やその他の利益と引き換えに、商品やサービスを好意的に評価する口コミを投稿させること
- 実際に利用していない商品やサービスについて、好意的な口コミを投稿すること
- 高評価の口コミのみを選んで掲載し、低評価の口コミを隠すこと
違反した場合には、措置命令や課徴金などの行政処分を受ける可能性があります。
その他の法令
以下の法律も改正が行われているようです。法的な解釈により口コミへの規制となっているようです。
- 民法上の名誉毀損
- 不正競争防止法上の不正行為
- 刑法上の侮辱罪
景品表示法に基づく「ステマ規制」違反の判例
2023年10月に景品表示法が改正され、ステマ規制が導入されて以降、景表法に基づくステマ規制違反の判例はまだないとのことです。
しかし、インターネット上の口コミ投稿等における景品表示法違反の疑いのある事例について、今後、景表法に基づくステマ規制違反の判例が出ることは予想されます。
口コミ投稿時の注意すべき3点
インターネット上には、様々な口コミサイトやレビューサイトが存在し、消費者は商品やサービスを選ぶ際の参考にしています。
しかし、中には虚偽の情報や誹謗中傷を含む口コミも存在するため、注意が必要です。
口コミを投稿する際に注意すべきポイントを3つご紹介します。
1. 事実に基づいた内容を投稿する
口コミ投稿において最も重要なのは、事実 に基づいた内容を投稿することです。
自分の体験や意見を正直に書き、虚偽の情報や誇張表現は避けるようにしましょう。
以下のような内容は避けなくてはいけません。
- 根拠のない誹謗中傷
- 事実と異なる情報
- 個人的な感情に基づく批判
- 未確認の情報
2. 誹謗中傷や名誉毀損にあたる表現を避ける
口コミ投稿においては、誹謗中傷や名誉毀損にあたる表現を避けることが重要です。
たとえ批判的な内容であっても、相手の人格を否定したり、侮辱したりするような表現は控えなくてはいけません。
以下のような表現は避けなくてはいけません。
- 相手を罵倒するような言葉
- 差別的な表現
- 根拠のない悪評
- プライバシーを侵害するような情報
3. 関係する法令を遵守する
口コミ投稿を行う際には、関係する法令を遵守する必要があります。
主に以下の法令が関係するでしょう。
- 景品表示法:
景品表示法では、「ステマ行為」(金銭やその他の利益と引き換えに行う虚偽の口コミなど)が禁止されています。 - 民法:
民法では、名誉毀損や肖像権侵害などの不法行為が規定されています。 - 不正競争防止法:
不正競争防止法では、不正競争行為(他人の商品やサービスの信用を害する行為など)が禁止されています。 - 刑法:
刑法では、侮辱罪やプライバシー侵害罪などの犯罪が規定されています。
これらの法令に違反した場合、民事上の責任や刑事上の責任を問われることがあります。
まとめ
口コミ投稿は、商品やサービスの情報を共有する上で有効な手段ですが、一方で、法的なリスクも伴います。
注意すべきポイントを踏まえ、責任を持って口コミ投稿を行うようにしましょう。