熊本観光といえば、熊本城や阿蘇の壮大な自然を思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど、旅の途中で少しだけ足を伸ばして、「震災の記憶」にふれてみる時間を持つのも、熊本という土地をより深く知る、かけがえのない体験になるのではないでしょうか。
今回は、「秋、雨の日の“記憶に残る熊本の体験スポット3選”」をご紹介します。
観光ルートの合間に立ち寄れる場所ばかりなので、これから熊本を訪れる方はもちろん、地元に住んでいながらまだ行けていないという方にも、是非ともお届けしたいと思った内容です。
ロビン像(南阿蘇村・西原村)

熊本には、『ONE PIECE』のキャラクター像が各地に設置されています。
その中でも、南阿蘇村のロビン像は、静かに記憶を語りかけてくるような存在でした。
阿蘇の山並みを背に立つロビン。
考古学者というキャラクター性が、「震災の記憶を受け継ぐ」ことと自然に重なって感じられます。
像の周囲には、震災当時の状況や復興の歩みを伝える展示が並んでいて、ただの記念像ではなく、「伝える場」としての役割をしっかり果たしていることが分かりました。
熊本地震震災ミュージアム「KIOKU」

ロビン像から近い場所にある「熊本地震震災ミュージアム KIOKU」。
訪れた日は雨でしたが、その静けさが逆に展示と向き合う心を落ち着かせてくれました。
館内には、2016年の熊本地震に関する証言や記録、地震の仕組み、防災への取り組みなどがわかりやすく展示されています。
とくに被災された方々の声は、静かに、けれど力強く、こちらに語りかけてくるようでした。
展示をひとつひとつ見ていくうちに、「あの日何が起きたのか」「これから何を大切に生きていくか」を自然と考えさせられる、そんな時間になりました。
館内では、震災に合われた方が語り部として案内をしていただけます。
気さくな会話にもこたえて頂けますので、なんでも聞いてみましょう。
詳しくは、熊本地震震災ミュージアム公式サイトを参照し、開館時間や休館日をチェックしてからの訪問がおすすめです。

新阿蘇大橋

震災で崩落した旧阿蘇大橋、その再建として完成したのが「新阿蘇大橋」です。
2021年に開通した新しい橋は、地元の人たちの生活を再びつなぎ、阿蘇の風景に溶け込んでいます。
雨のしとしと降る日に訪れ、薄っすらとした靄の中に伸びる橋と谷間の深い緑との対比がとても美しく、以前の風景を一変してます。
橋のたもとには、震災遺構である「東海大学阿蘇キャンパス」も残されています。
立ち寄ることもできます。
被災と復興、過去と現在が交差するその風景から、熊本の“今”を感じられると思います。

おわりに|旅の途中で「記憶」と出会うということ
今回ご紹介した3つのスポットは、観光地という枠にとどまらず、熊本に生きる人々の記憶や想いが詰まった場所ばかりです。
特に、地元に住んでいる方にとっては、「いつか行こう」と思いながら、なかなか足を運べていない場所かもしれません。
でも、だからこそ、改めて訪れてみてほしいと思いました。
ロビン像の前に立ち、震災ミュージアムの展示に目を通し、新たな橋を渡る。
その一つ一つが、心のどこかに静かに残る体験になるはずです。
旅先でも、地元からでも。熊本を見つめ直す時間を、ぜひ体験してみてください。
rakuten