MLBのDH制とは?大谷翔平にも関係する重要ルール
MLB(メジャーリーグベースボール)には「DH制(指名打者制度)」という特別なルールがあります。(日本プロ野球パ・リーグにもあります。)
これは、投手の代わりに攻撃時のみバッティングを専門とする選手(DH)が出場できる制度です。2022年からは、投手としても打者としても出場できる「大谷ルール」が導入され、大きな注目を集めました。
この記事では、MLBにおけるDH制の導入の背景と、これまでに行われた主なルール改変についてわかりやすく紹介します。
なぜDH制は導入されたのか?背景と経緯
DH制が最初に導入されたのは1973年、アメリカン・リーグ(AL)でした。
当時、投手の打率は非常に低く、アウトになることがほとんどでした。
これでは観客にとっても面白みに欠け、試合のテンポも悪くなります。
さらに、1960年代後半にはア・リーグ全体の得点力が低下し、観客動員数も減少傾向にありました。
そこで、
- 攻撃力の強化
- 投手の怪我防止
- 観客の満足度向上
といった目的から、「ピッチャーは守備と投球に専念し、バッティングは強打者に任せよう」という発想が生まれ、DH制が正式に採用されることになったのです。
DH制のルール改変の歴史と「大谷ルール」誕生まで
MLBのDH制は、1973年の導入以降、時代とともに進化してきました。ここでは主なルール改変とその背景を年代順に紹介します。

■ 1973年:ア・リーグでDH制を正式導入
- 内容:アメリカン・リーグの試合で、投手に代わって「指名打者」が打席に立てるようになった。
- 背景:投手の打撃能力の低さによる得点力の低下、観客減少への対策。
■ 2010年:オールスター戦でDH制を恒常採用
- 内容:オールスターゲームでは、開催地に関係なくDH制を採用することに統一。
- 背景:人気選手がバッティングで登場しやすくなり、ファンの満足度向上。
■ 2020年:ナ・リーグでもDH制を臨時導入(COVID-19特例)
- 内容:新型コロナウイルス対策として、ナショナル・リーグ(NL)でもDH制を一時導入。
- 背景:選手の移動や接触を減らし、投手への負担を軽減。試合進行の簡略化を目的とした。
■ 2022年:MLB全体でDH制を恒久化+「大谷ルール」導入
- 内容①:ナ・リーグでもDH制を正式に採用し、MLB全体で統一された。
- 内容②:「大谷ルール」の導入。投手が同時にDHとして出場し、投手交代後も打者として試合に残れるルール。
- 背景:
- 大谷翔平選手のような二刀流選手に対応するため。
- エンゼルスや他チームが大谷を最大限活用できるように。
- MLBとしても興行的価値の高い選手を活かすための柔軟な制度へシフト。
大谷翔平が変えたMLBのルール
「大谷ルール」とは、それまでのDH制では想定されていなかった「投手兼打者」という存在をルールに組み込むという、大きな改革でした。
従来のルールでは、投手として登板している選手が、打者としても出場し続けることは難しく、代打や交代の制約がありました。しかし、大谷選手のような特別な選手が活躍するには、その枠組みでは不十分でした。
大谷ルールにより、
- 試合開始時に投手兼DHで出場可能
- 登板を終えても、DHとしては交代しなくてよい
という、二刀流選手にとって理想的なルールが実現しました。
まとめ:MLBのDH制は進化してきた

DH制は「攻撃力の強化」「試合のテンポ向上」という目的から始まりましたが、今や「スター選手を活かすための柔軟な制度」へと進化しています。
特に大谷翔平選手の登場は、MLBのルールそのものを変えるほどのインパクトを与えました。
野球がますます多様化し、エンターテインメントとしても進化を続ける中、DH制のこれからの変化にも注目です。
rakuten