はじめに

AIが急速に普及する中、GPU需要が一気に高まり、世界ではAIデータセンターの建設が加速しています。
TSMC、Samsung、Intel、NVIDIAといった企業は世界経済の中心となり、半導体産業は急成長の真っただ中にあります。
しかし2030年代を見据えると、これらの企業でさえ避けて通れない“産業構造上の限界”が存在します。それはGPU不足でもEUV装置の供給制約でもなく、半導体製造に欠かせない 「超純水(UPW)」 です。
半導体製造は微細化が進むほど洗浄工程が増え、わずかな粒子や金属イオンでも歩留まりに影響します。
そのため最先端工場は、巨大な水処理プラントとして24時間体制で超純水を生産する必要があります。特にAI向け半導体では、次の理由から水使用量が一段と増え、水が止まれば、工場も止まります。
- HBMの積層工程が複雑化(洗浄回数の増加)
- チップレット化の普及(先端パッケージ工程が増加)
- AIサーバーの増加(GPU・HBM需要の連鎖的拡大)
2021年の台湾干ばつでは、TSMCを含む多くのメーカーが給水車を手配し、水の確保に奔走しました。また、TSMCが投資を進めるアリゾナ州も深刻な水不足地域で、コロラド川流域の水位低下が社会問題となっています。
さらにIDTechExは、半導体産業の水使用量が 2035年までに倍増 する可能性を指摘しています。(https://www.idtechex.com/en/research-article/water-usage-in-semiconductor-manufacturing-to-double-by-2035/32746)
AIが進化するほど水が必要になり、工場が増えるほど水資源への依存度は高まります。
そして、水は電力と同じレベルで重要なインフラとなりつつあります。
本コラムでは、AI時代に急拡大する超純水需要の全体像を捉えながら、以下について考察していきます。
- 水不足が半導体産業へ与える影響
- 日本企業が握る世界シェア
- 2035年に向けた競争軸の変化
1.AI半導体は、なぜ大量の水を必要とするのか
1-1. 半導体は「水で作る産業」である

AI時代の半導体は、従来以上に大量の水を必要とする構造へと変化しています。
最先端工場では 1日数万トン規模の超純水を消費します。
半導体製造は、回路形成と洗浄を何度も繰り返す工程で構成され、微細化が進むほど洗浄の重要性が高まります。
そして、わずかな粒子や金属イオンの残留で歩留まりに大きく影響するため、超純水の品質と安定供給は最先端製造にとって不可欠です。
超純水は、『RO膜処理』・『イオン交換』・『紫外線処理』・『脱気処理』といった複数の工程を組み合わせてつくられます。
これらの設備を24時間365日途切れなく稼働させる必要があるため、半導体工場は巨大な水処理プラントとしての側面を持つようになりました。
さらに微細化の進展やEUV露光の普及により工程数が増え、洗浄回数も増加しています。
とりわけEUVでは、マスクやレジスト管理に高純度の水が欠かせず、水使用量を押し上げる要因となっています。
1-2. AI半導体が従来以上に水を消費する理由

AI向け半導体は、ロジック単体ではなく GPU+HBM の組み合わせが主流となり、その分だけ製造工程が複雑化しています。
● HBMが水需要を高める構造
HBMは複数のDRAMチップを垂直に積層し、TSVで接続する構造を持ちます。
この積層構造は高性能を実現する一方で、工程数が多く、洗浄工程も増えます。
HBMで水使用量が増える主な理由は次のとおりです。
- TSV形成に伴う追加エッチング
- 積層前後の洗浄工程の増加
- 接合工程での薬液処理
- 歩留まり確保のための高精度洗浄
● チップレット化が水使用量をさらに増やす
近年、半導体業界ではチップレット技術が普及しています。
複数の小さなチップを高密度に接続する方式で、次のような工程が増加します。
- 先端パッケージ(CoWoS、Foverosなど)
- インターポーザ形成
- 接合工程
- 検査工程
これらはいずれも洗浄や薬液処理が多く、超純水の消費量が大きい工程です。
特にCoWoSは、NVIDIAのAI GPUに不可欠で、増産は水需要の増加と強く連動しています。
● AIサーバーの増加が水使用量を一段と高める
AIサーバーは一般的なクラウドサーバーより高密度で、GPUやHBMを大量に搭載します。
そのため、 『AIサーバー増加』 → 『GPU需要増加』 → 『HBM需要増加』 → 『半導体工場の水使用量増加』 という連鎖が生まれます。
NVIDIAの最新世代では複数GPU構成が標準化しており、HBM需要の増加が水使用量をさらに高めてます。
1-3. 2035年に向けて水使用量が構造的に増加する
AI、ロボット、自動運転、エッジAIなどの普及により、半導体需要は2035年に向けて拡大し続けます。それに伴い、水使用量を押し上げる要因も次のように増えています。
- 微細化の進展
- HBMの普及
- チップレット化の加速
- AIサーバー需要の増加
- 先端パッケージ工程の拡大
半導体工場は、電力・人材・土地と同じレベルで水資源に依存する産業です。
AI時代の半導体は性能だけでなく水使用量の面でも巨大化しており、2035年に向けて水資源の確保が新たな競争条件になることは避けられません。
2.2035年、水不足が半導体工場建設を左右する
2-1. 半導体工場は「水の確保」で立地が決まる時代へ
これまで半導体工場の立地条件は、電力・人材・物流・土地が中心でした。
しかし2030年代に向けて、これらと同等、あるいはそれ以上に重要な要素として水資源の確保が浮上しています。
最先端工場は1日数万トン規模の超純水を必要とし、その量は中規模都市の生活用水に匹敵します。
水が止まれば工場も止まるため、立地選定における水リスクの重要性は急速に高まっています。
● 立地条件の変化
- 従来:電力・人材・物流・土地
- 2030年代:上記に加えて、「水資源の安定性」+「水再利用インフラの整備状況」
水が新たな立地条件として浮上した背景には、次のような要因があります。
- AI時代の到来による半導体需要の急増
- 微細化・HBM・チップレット化による水使用量の増加
- 気候変動による降雨パターンの変化と地域的な水不足
台湾・アリゾナ・韓国・中国北部など主要半導体拠点は、いずれも水資源に課題を抱えており、2035年に向けて水不足が供給網のボトルネックになる可能性が高まっています。
2-2. 台湾・アリゾナが直面した「水不足」という現実

● 台湾 (世界最大の半導体拠点が干ばつに揺れた)
2021年、台湾は深刻な干ばつに見舞われ、TSMCを含む半導体メーカーが給水車を手配して工業用水を確保しました。
生産停止には至らなかったものの、世界最大の半導体拠点が水不足に直面した事実は、業界に大きな衝撃を与えました。
<台湾が干ばつに弱い理由>
- 河川が短く急峻で貯水が難しい
- 降雨が海へ流れやすい地形
- 気候変動による降雨パターンの不安定化
- 半導体工場の集中による水需要の増加
TSMCはこの経験を踏まえ、水再利用率の向上・排水回収設備の強化・地域インフラへの投資を進めています。
● アリゾナ (砂漠地帯に建つ最先端ファブの矛盾)
TSMCやIntelがアリゾナに巨額投資を行っていますが、アリゾナは世界でも有数の水不足地域です。
<アリゾナの水リスク>
- 砂漠気候で降雨量が極端に少ない
- コロラド川の水位低下
- 地下水の過剰利用
- 人口増加による水需要の増大
それでもアリゾナが選ばれる理由
- 広大な土地
- 安定した電力
- 半導体産業の集積
- 米国政府の補助金
- 地政学的なサプライチェーン強化
ただし水不足は避けられないため、TSMCは高い水再利用率を前提とした工場設計を進めています。
● 韓国・中国北部:HBM拡大で水需要が急増
韓国はHBMの中心地であり、SK hynix・ Samsung Electronicsが世界市場を牽引しています。
しかし首都圏周辺は人口密度が高く、工業用水の確保が難しくなっています。
中国北部も降雨量が少ないうえ、半導体工場の増設に伴い水需要が急増しています。
<各地域で進む対策>
- 工場内の水循環システム強化
- 排水処理の高度化
- 地域インフラへの企業投資
- 水再利用率の向上
HBM需要の増加は、韓国の水リスクをサプライチェーン全体のリスクへと拡大させています。
2-3. 2035年、工場立地の決定要因は「水インフラ」へ
2035年に向けて、工場立地は「土地があるから建てる」から「水が確保できるから建てられる」へと発想が転換します。
● 2035年の工場立地評価軸
- 電力供給能力
- 人材確保
- 物流アクセス
- 土地の広さ
- 水資源の安定性
- 水再利用インフラの整備状況
- 地域の排水規制(PFAS含む)
水資源は工場規模を直接制約します。
- 水供給量が最大生産能力を決める
- 水再利用率が低いと増産できない
- 地域インフラが弱いと増設が難しい
同じ投資額でも、水が確保できる地域とできない地域では生産能力に大きな差が生まれます。
● AI産業全体が水に依存する構造
水不足は半導体工場だけの問題ではなく、AIデータセンターも大量の電力と冷却水を必要とします。
<AI産業の水依存構造>
- AIデータセンター → 冷却に大量の水
- AI半導体工場 → 超純水に大量の水
- 水処理設備 → 運転に電力と水
AIが普及するほど水需要が増えるという、構造的な課題を抱えています。
● 水不足は半導体の新たなボトルネックへ
<従来のボトルネック>
- EUV露光装置不足
- HBM不足
- 先端パッケージ不足
<2035年に向けて浮上する新たなボトルネック>
- 水不足
<水不足が引き起こすリスク>
- 工場稼働率の低下
- 生産能力の制限
- 新工場建設の遅延
- 地域間の競争力格差
- サプライチェーンの不安定化
水は半導体製造の“見えないインフラ”であり、その重要性は今後さらに高まります。
3.AI時代で拡大する超純水市場の構造変化
3-1. 世界の半導体投資が超純水市場を押し上げる
AIの急速な普及により、世界の半導体投資は過去に例を見ない規模で拡大しています。
生成AIの普及によってGPU・HBM・AIアクセラレータの需要が急増し、各国で新たな半導体工場の建設が進んでいます。
これに伴い、超純水市場も半導体投資と連動して成長しています。
特に2023年以降、世界の主要地域では以下のような大規模投資が続いています。
- 米国:CHIPS法によりアリゾナ・オハイオ・テキサスで新工場が相次ぐ
- 台湾:TSMCが3nm・2nm向けの増設を継続
- 韓国:SK hynix・SamsungがHBM向け投資を拡大
- 日本:熊本・北海道でロジック・メモリの新拠点が進行
- 欧州:ドイツを中心にロジック・パワー半導体の投資が増加
これらの工場はすべて、稼働開始と同時に大量の超純水を必要とします。
つまり、半導体投資=超純水投資という構造が成立しています。
●超純水市場の予測
| 年度 | 市場規模(推定) |
| 2025年 | 約50億ドル |
| 2030年 | 約75億ドル |
| 2035年 | 約110億ドル |
10年間で市場規模は2倍以上に拡大すると見込まれています。
これは半導体市場の成長率を上回るペースであり、単に工場数が増えるだけでなく、工場1棟あたりの水処理設備の規模が拡大していることが背景にあります。
3-2. 2035年、超純水市場は「量」から「循環」へ進化する

2030年までは、超純水市場の成長は主に「量の拡大」によって支えられます。
しかし2035年に向けては、競争軸が大きく変わります。
● 2035年の競争軸
- 水回収率の高さ
- 排水処理の高度化(特にPFAS対応)
- AIによる運転管理
- 地域の水インフラとの連携
特に水回収率は、工場の生産能力を左右する重要な指標になります。
<水回収率の進化>
| 時期 | 回収率 |
| 現在 | 70〜80% |
| 2030年 | 85〜90% |
| 2035年 | 90〜95%以上 |
水回収率が95%に達すれば、同じ水資源で生産できる半導体量は大幅に増えます。
● 超純水市場は“AIインフラ市場”へ
AIデータセンター
→ GPU需要
→ HBM需要
→ 半導体工場増設
→ 超純水需要増加
という構造が続くため、超純水市場は単なる水処理市場ではなく、AIインフラ市場の一部として成長していきます。
4.超純水メーカーがAI時代の勝者になる理由
4-1. 世界の半導体工場が日本企業の超純水技術を選ぶ理由
半導体製造装置ではASMLやApplied Materialsなど欧米勢が強い一方、超純水製造システムは日本企業が世界標準 になっています。
TSMC、Samsung、SK hynix、Micronといった最先端ファブが採用しているのは、栗田工業・オルガノ・野村マイクロ・サイエンスなど日本企業の技術です。
● 日本企業が強い理由
- 半導体専業で技術を磨いてきた長い歴史
- 微粒子・金属イオン・有機物除去の精度が世界最高レベル
- 水質変動を極小化する安定供給技術
- TSMC・Samsung・SK hynixなど最先端工場での豊富な実績
- 工場ごとに異なる工程に合わせたカスタム設計能力
超純水は汎用品ではなく、工場ごとに最適化が必要です。
日本企業はこの 「カスタム対応力」 により世界の信頼を獲得しています。
● 日本勢と海外勢の比較(要点)

前工程向け超純水は日本勢が圧倒的ですが、排水処理・水再利用は欧米勢が強く、2035年に向けて競争はさらに激しくなる見通しです。
4-2. 栗田工業・オルガノ・野村マイクロの競争力を深掘りする
日本企業の中でも特に存在感が大きいのが、栗田工業、オルガノ、野村マイクロ・サイエンス の3社です。
それぞれ異なる強みを持ち、AI時代の超純水市場で重要な役割を果たしています。

● 栗田工業:水循環まで含めた“総合力”が最大の武器
栗田工業は、超純水だけでなく排水処理・水再利用・薬液管理・運転管理まで対応できる 総合水処理企業 です。
栗田工業の強み:
- 超純水〜排水〜再利用まで一気通貫のソリューション
- 顧客依存度が低く安定した収益構造
- 排水処理・再利用技術の強化が進む
- グローバル展開が広く海外対応力が高い
2035年に競争軸が「水循環」へ移る中、栗田工業は最も有利なポジションにあります。
● オルガノ:TSMCとの強固な関係が最大の成長ドライバー
オルガノの最大の武器は TSMCとの強い関係 です。
TSMCは世界最大のファウンドリであり、台湾・熊本・アリゾナ・欧州などで大型投資を続けています。
オルガノの強み:
- TSMC向けの圧倒的実績
- 先端ロジック向け超純水で高い競争力
- 工場ごとのカスタム設計能力
- 台湾市場での強いプレゼンス
TSMC依存度が高い点はリスクですが、AI時代の中心がTSMCである限り、成長余地は大きい企業です。
● 野村マイクロ・サイエンス:HBM拡大の“最大の受益者”
野村マイクロは Samsung・SK hynixとの関係が強い ことで知られています。
特にSK hynixはHBM市場で圧倒的で、HBM需要の増加はそのまま野村マイクロの成長につながります。
HBM需要の連鎖構造:
- AIサーバー増加 → GPU需要増加 → HBM需要増加 → 韓国勢の設備投資増加 → 野村マイクロの受注増加
野村マイクロの強み:
- 韓国市場での圧倒的実績
- HBM向け工程に最適化された超純水技術
- 中小企業ならではの機動力
- 高成長が期待できる市場ポジション
成長率という観点では、日本勢の中で最も高い可能性を持つ企業です。
4-3. 2035年、超純水メーカーは“AIインフラ企業”へ進化する
2035年に向けて、超純水市場は単なる水処理市場ではなく、AIインフラ市場の中核 へと変化します。
AI半導体工場の増加、HBMの普及、チップレット化の加速により、超純水はAI産業の根幹を支える存在になります。
● 2035年の競争軸は「超純水」から「水循環」へ
2035年の工場は、次のような循環型モデルが主流になります。
上水 → 超純水 → 製造工程 → 回収 → 再精製 → 超純水
求められる水回収率:
- 現在:70〜80%
- 2030年:85〜90%
- 2035年:90〜95%以上
排水処理・PFAS対応・AI運転管理など、従来とは異なる技術領域が重要になります。
● 日本勢と海外勢の競争は融合フェーズへ
- 日本勢:前工程向け超純水で圧倒的
- 海外勢:排水処理・水再利用・PFAS対応で強い
2035年にはこの2つの領域が融合し、総合水循環システムの競争 が本格化します。
● 日本企業が勝つために必要なこと
- 水循環・排水処理領域の強化
- AIによる運転管理の高度化
- 海外展開の加速
- PFAS規制への対応強化
5.2035年の勝負は「超純水」から「水循環」へ

5-1. 超純水を「作る競争」から「循環させる競争」へ
2035年の半導体産業では、超純水の重要性はさらに高まります。
しかし競争の中心は、これまでのように 「どれだけ高純度の水を安定供給できるか」 ではなく、 「どれだけ効率よく水を循環させられるか」 へと移行します。
従来の工場は次のような直線型モデルでした。
『上水』 → 『超純水』 → 『製造工程』 → 『排水処理』 → 『放流』
しかし水不足が深刻化する地域では、このモデルでは工場の増設や生産能力の拡大が難しくなっています。
● 2035年に求められる新しい水循環モデル
『上水』 → 『超純水』 → 『製造工程』 → 『回収』 → 『再精製』 → 『超純水』
この循環型モデルでは、排水を再び超純水として利用するため、 水回収率の高さが工場の競争力そのもの になります。
5-2. 水回収率が工場の生産能力を決める時代へ
水回収率はすでに70〜80%に達していますが、2035年には 90〜95%以上 が求められます。
水回収率が高いほど、同じ水資源でより多くの半導体を製造でき、地域の水供給に依存しにくくなります。
● 水回収率が低い工場の課題
- 生産能力の上限が水供給量で決まる
- 干ばつ時に稼働率が低下しやすい
- 工場増設が難しくなる
- 地域の水インフラ整備に追加投資が必要
逆に水回収率が高い工場は、水不足地域でも安定稼働できる“強い工場” になります。
5-3. PFAS規制と排水処理の高度化が新たな競争軸に
2030年代に向けて、世界各国で PFAS(有機フッ素化合物)規制 が強化されます。
PFASは半導体工程で使用される薬品にも含まれるため、排水処理の高度化は避けられません。
● PFAS規制がもたらす変化
- 排水処理設備の大型化・高性能化
- 超純水設備と排水処理設備の一体設計が必須
- 水循環システム全体の最適化が重要に
- 欧米勢(Veolia・Ecolab)が強みを発揮する領域が拡大
PFAS対応は、超純水メーカーにとって 新たな技術競争の舞台 になります。
5-4. AIによる水処理運転管理の高度化
2035年の工場では、AIが水処理設備の運転管理を担うようになります。
AIが最適化する領域:
- フィルター交換タイミングの自動判断
- 水質変動のリアルタイム監視
- 回収率・薬品使用量の最適化
- 異常検知と予兆保全
これにより、従来の人手による管理では難しかった 高回収率と安定水質の両立 が可能になります。
AI時代の水処理は、単なる設備運転ではなく データ駆動型のインフラ運用 へと進化します。
5-5. 2035年の勝者は「水循環を制した企業」になる
2035年の半導体産業では、次の3つを同時に実現できる企業が勝者になります。
● 2035年の勝者の条件
- 超純水の安定供給能力
- 排水処理・PFAS対応の高度化
- 高回収率を実現する水循環システムの構築
この3つを統合できる企業は、単なる水処理メーカーではなく、 AIインフラを支える“水循環プラットフォーマー” へと進化します。
● 日本企業が勝つために必要なこと
- 排水処理・水再利用技術の強化
- PFAS規制への対応力向上
- AI運転管理の導入
- 海外展開の加速
特に栗田工業は総合力が高く、2035年の競争軸に最も適合した企業といえます。
まとめ
AI革命の進展により、半導体産業はこれまでにない成長局面を迎えています。
しかし2035年に向けて、半導体製造の最大の制約は「装置」でも「人材」でもなく、水資源 へと移りつつあります。
特に超純水は、微細化・HBM・チップレット化の進展により、従来以上に重要なインフラとなっています。
● 半導体産業が直面する本質的な変化
- AI向けGPU・HBMの増加で水使用量が急増
- 台湾・アリゾナ・韓国など主要拠点が水不足リスクを抱える
- 工場立地の決定要因が「水資源」へシフト
- 2035年には水回収率90〜95%が必須に
水不足は、工場稼働率・生産能力・新規投資に直接影響し、サプライチェーン全体の安定性を左右します。
● 超純水メーカーがAI時代の中核になる理由
- 超純水は歩留まりを左右する“見えない装置”
- 日本企業(栗田工業・オルガノ・野村マイクロ)が世界の最先端工場で高い実績
- 2035年の競争軸は「超純水」から「水循環」へ
- 排水処理・PFAS対応・AI運転管理など、新たな技術領域が重要に
超純水メーカーは、単なる水処理企業ではなく AIインフラを支える基盤企業 へと進化します。
● 2035年の勝者は「水循環を制した企業」
- 超純水の安定供給
- 高度な排水処理・PFAS対応
- 高回収率を実現する循環システム
- AIによる運転最適化
これらを統合できる企業が、AI時代の半導体産業を支える中心的存在になります。

